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コンセプトアーティスト田島光二

この世にまだ実在しないキャラクターをゼロからつくるコンセプトアーティストの田島光二。大きすぎる夢を笑われても「やればできる」と突き進み、「普通の高校生」からハリウッドへの夢を叶えた彼は、Forbes JAPANが選んだ「30 UNDER 30 JAPAN 2019」アート部門受賞者のひとりだ。

「スター・ウォーズ」のジョージ・ルーカス監督が設立したVFXスタジオ「Industrial light & Magic(ILM)」のバンクーバー支社で活躍する彼のストーリーを、本誌(8月24日発売)に先駆けてお届けする。




インタビュー前、身長187cmの堂々たる体躯でカメラの前に立つ田島光二は、28歳という年齢に似合わぬキャリアのなせる業か、悠然と構えていた。

ハリウッドで活躍するコンセプトアーティスト。日本では知られた職業ではないが、この世にまだないキャラクターや物、街などを映画監督のビジョンとコンセプトに基づきCGでデザインし、視覚化する仕事だ。

「ファンタスティック・ビースト」のサンダーバード、「ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち」のホローガスト、「ヴェノム」……これらのVFX(視覚効果)を使った大作で、スクリーンに出現した魔法動物やモンスター、地球外生命体といったものたちは、田島光二の左手によって生み出されたものだ。


バンクーバーILMオフィスの自席にて。左手でペンを握り、描いていく。周りにはキャラクターフィギュアも。

特にクリーチャー(モンスターや怪物など想像上の生物)を描くのが得意。昨年からは、世界のトップアーティストの集団であり、ジョージ・ルーカス監督が設立したVFXスタジオ、Industrial Light & Magic(ILM)のバンクーバー支社に籍を置く。

フラッシュを浴びる姿を見て、撮影を見学に来た同級生がつぶやく。

「彼がこうしているのが不思議です。出会ったころは、将来の夢もない普通の高校生でしたから」

撮影を終えた田島自身も、人懐っこい表情になってこう昔を振り返った。

「身長だけは周りに負けませんでしたね。僕、小6で170cmあったので」

身長「だけ」と強調するのには訳がある。本人曰く、18歳までは勉強もスポーツもぱっとせず。何をやっても不器用で、絵を描くのは好きだったものの、人目を引くほど上手ではなかった。本当にどこにでもいるような高校生だったのだ。

ではなぜ10年のうちに、田島は若手トップアーティストとして脚光を浴びる存在になり得たのか。

モンスターを描くのだけは好きだった

母はプロのイラストレーター、父も絵を描くのが趣味。2歳上の兄と6歳下の弟も含めて、一家全員絵を描くのが好きな環境で育った。お気に入りの遊びは「お題対決」。両親から「犬」「狼男」「花」といったテーマを出してもらい、3兄弟がそれについて描くというものだ。

「いまやっている仕事と一緒ですね。クライアントが家族から監督に変わっただけで」

文=秋山千佳

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