世界一使われているEmoji、第1位は「笑い泣き」

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絵文字の出番は、私的なチャットやメールにとどまらない。たとえばビジネスにおいては、ツイートに絵文字を入れると、顧客エンゲージメントが25%高まることがマーケティング業界では知られている。SNSに限らず、斬新な絵文字の使い方で目を引く広告は多い。職場でも、同僚とのメールやグループチャットでニュアンスを出すために絵文字が使われる。裁判所では事件の証拠として使われはじめているし、ホワイトハウスも絵文字に関する経済レポートを作成している。

誕生から20年以上たち、いまや絵文字の数は3000を優に超える(絵文字検索サイトのEmojipediaで見られる)。飛躍的に増加したことで、すべての絵文字を理解するのが難しくなっている。

絵文字は世界共通でも、明快でもない?


1つの絵文字が1000の言葉に相当することもあるが、誰でも同じ意味に受け取るわけではない。有名な例に、「合わせた両手」がある。発祥地の日本では「ありがとう」や「お願い」の意味で使われるが、輸出先の北米の人々には馴染みがなく、祈りのポーズと解釈している人が多く、なかにはハイタッチの意味で使う人もいる。

「リサイクルマーク」の事情はより複雑だ。ツイッター上の絵文字をリアルタイムで計測するEmoji Trackerによれば、この原稿を書いている時点での累計投稿回数は9億6387万2358回で、3位につけている。世界市民のリサイクル意識が高まった結果だろうか? そうではない。実際には資源の分別などとは無関係で、ツイッターにイスラム教の祈りを投稿するアプリやサイトが「拡散希望」の意味で頻繁に使っているのだ。

一般的なイメージとは裏腹に、多くの絵文字は世界共通にはなっていない。意味が使用状況によって大きく変わり、ユーザー間のそれまでの共通認識に左右されることも多い。文化によっても、しばしば意味の違いを生む。たとえば、米国は世界一「ナス」の絵文字を使う国だという調査結果があるが、なにもそれが国民食というわけではなく、多くが男性器を表現するのに使われている(2015年にコンドームメーカーのデュレックスが制作した厚かましいプロモーション動画にも登場している)。

絵文字を使って明快にするつもりが、意味やニュアンスがズレたり、読み取れなくなったりする場合もある。とりわけ難しいのは、受け手の文化が関わるときだ。「全世界に通じる」と称されるものはどれも、一部の人々を抑圧するリスクを含んでいる。

絵文字の肌の色を変える機能が2015年まで実装されなかったことを思い出してほしい。松の木からカボチャのランタンまでそろっていたのに、黒い肌の絵文字はひとつもなかった。

世界共通で明快なはずの絵文字から除外され、見落とされた人々は今も存在する。たとえば、ブランドウォッチの調査報告には、男性は恐怖を表す絵文字を女性より35%多く使っていると書かれている。男は人を怖がらせたがる生き物なのだろうか? この調査では「ガイコツ」の絵文字も恐怖を表すと解釈されているが、単純にガイコツはクールだと思っているユーザーもかなりいるはずだ。
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翻訳・編集=門脇弘典/S.K.Y.パブリッシング

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