ビジネスで絵文字を使う4つのコツ
批判めいたことを書いてきたが、実際には私も絵文字のヘビーユーザーだ。短い文面をポンポンやり取りしていると、誤解が生じやすくなる。絵文字は発信側の意図する感情を一発で表現できるし、顧客エンゲージメントを高める効果も常に認められている。敬遠せずにビジネスでも活用すべきだろう。使いどころと送る相手を念頭において、文章を補うために絵文字を使うことが肝心だ。ビジネスで絵文字を使うときの4つのコツを紹介しよう。
1. 定番を使う
Unicode標準の絵文字の意味や一般的な用法を説明する絵文字リファレンスWebサイト「Emojipedia」によれば、絵文字の中でも笑顔系、ハート系、手振り系の3つは不動の人気カテゴリーだ。「動物、スポーツ、品物、シンボルなども大量にあるが、絵文字ユーザーは自分の姿や気持ちを投影したがっている」と、サイト創設者のジェレミー・バージは指摘する。人間にまつわる定番の絵文字を使えば、企業は失敗することなく受け手との関係を深められる。これは顧客に向けた社外コミュニケーションと、同僚に向けた社内コミュニケーションの両方に当てはまる。
2. 受け手を知る
多くの絵文字は全世界に通じる基本的意味のほか、使っている集団によって様々な意味を持つ。そのような絵文字を使いこなせば、「仲間」であることを強く印象づけられる。逆に、使い方を間違えると「イタいオジサン」に見えてしまう。マーケティングコンサルタントのプラティク・ドラキヤは、「適切な前後関係を理解できないブランドは、ネット掲示板で笑いのネタにされる。ターゲットとなる受け手を知ることは必須事項だ」と助言する。
個人的な例になるが、私はフォロワー向けのツイートで「力こぶ」の絵文字をよく使う。ウェイトトレーニングとは一切関係ない強い気持ちの表現で、フォロワーもそれは理解している。だが、絵文字を普段使わない取締役への連絡には、その絵文字は(というか、どんな絵文字も)使わないようにしている。
3. ネガティブを憎み、ポジティブを愛する
ネガティブな絵文字よりもポジティブな絵文字のほうが、圧倒的に多く使われている(ブランドウォッチによれば3倍も違う)。ネガティブに見えて、実は皮肉や嫌味を込めている場合も少なくない。しかし企業は、皮肉も含めたネガティブ全般の絵文字を避けるほうがいい。プレックス社の人材運用マネジャーのジェシー・ハイン・ジェンセンによれば、「怒りや憎しみを表す」絵文字は使わず、「自分の発言がインターネットの向こう側でどう受け取られるかに気を配るのが重要」だという。
4. ほどほどを心がける
絵文字を組み合わせて単語や文を表現する絵文字クイズは独創的で面白いが、私は2つで飽きてしまった。忙しいときには絵文字の暗号よりも、シンプルでわかりやすいメールのほうがありがたい。ビジネスのやりとりでは、ここぞという2、3カ所に絵文字を入れるにとどめ、使いすぎたり明快さを損ねたりしないように気をつけよう(シボレーは2015年に全文絵文字のプレスリリースを出したが、懲りたらしく二度と同じことはしなかった)。