「自由視点」が可能にする、5G時代の新たなエンタメ体験

AMATELUS代表取締役の下城伸也

人が見たいものはきっと、“Video”ではない。

Videoの中に「その人が本当に見たいもの」がある。

自由視点映像やマルチアングル映像を4G環境下であってもブラウザ上で配信や再生を可能にする、世界初の自由視点映像生成及び配信システム「Swipe Video(スワイプビデオ)」を展開するAMATELUS。映像権利は持たないが、人々の視聴体験を変えることの出来る技術を持ち合わす。

「画面をスワイプすると、視点が切り替えられる新型動画」──このありそうでなかったシステムを世に出した代表取締役の下城伸也に話を伺った。

「今はスポーツやエンタメの興行が世界中に蔓延するコロナウィルスの影響で中断してしまっているからこそ、ネクストスタンダードを作っていくタイミング」と語る下城。

無観客試合やイベントでも視聴者が自由に視点を切り替えることが出来たら新たな楽しみ方を生み出すことは間違いない。

試合に足を運べない、大好きなアーティストのライブが中止となった。我慢を要する日々が続いているが、表現者も視聴者も今後同じような事態が起こった時には我慢する必要がなくなるのかもしれない。Swipe Videoの技術さえあれば、画面越しでもリアルにその場を体験することが出来るそんな革新的な技術の物語だ。

ウェブ業界の課題を解決する技術を作ろう


「ウェブをもっとリアルに。ウェブでもっと何かを伝えよう」

下城が11年間ウェブ業界に身を置いていた中で感じた課題、未来に向けてずっと思い続けてきたことだった。働き始めた2005年はテキストのみで製作されていたウェブページに画像、動画が加わっていく。そこに新たな視点として加わったウェブVRに未来を感じるようになった。だがよりリアルを追求した時に自由視点映像の可能性を感じ、2017年にAMATELUSを創立する決断を下す。

シンギュラリティーに向かって、人類に何を残すかを会社のテーマとしてスタートした。

「人々が動く原動力になるものって何だろう」と考えたとき、 スポーツにおける“ある体験”が土台となっていると下城は話す。ソフトテニスの全国大会で優勝をした時に自然と涙が流れ、それを見ていた周囲もその感情を共有してくれたことがあったという。



シンギュラリティーが訪れても揺るがない業界として、スポーツがよく挙げられるがその1つの経験が鮮明に残っている。下城は時代が変わっていく中でも人を突き動かすものを出来るだけ残していきたい、そんな思いから、会社の名前の由来も太陽系の全生命体のエネルギー源を意味し、それを拡散していくという壮大なゴールを描く。

「この世の中は人の想いで作られていますので、それを私たちは残していこうと思っています。これまで人類は想いや魂とかを絵、写真や動画に納めてきました。それが未来にはホログラムになると思っており、リアルにホログラムとしてシンギュラリティー以降に残していくためにSwipe Videoを始めました」
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文=新川諒 写真=小田駿一

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