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人々の暮らしをデータから読み解いています

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「若者のアルコール離れ」が言われて久しい。ビールやカクテルテイストのノンアルコール商品は毎年、新商品が発表され、最近では都市部にノンアルコール専門のバーも登場している。ノンアルコール市場は拡大傾向にあり、今後もこの流れは続きそうだ(下図表1)。

一方、アルコール市場へ目を向けると、市場が徐々に縮小しているだけでなく、多様化が進んでいる(図表2)。かつては酒類消費量の7割をビールが占めていたが、現在では3割にとどまり、リキュールや発泡酒の割合が高まっている。さらに最近では、若者や女性を対象にアルコール度数の低い商品が増えた印象もある。

長年、職場の飲み会などで見られてきた「とりあえずビール」文化も消えつつあり、それぞれが好きなものを好きな量だけ(少しだけ)飲むというスタイルが増えているのではないだろうか。米国ではミレニアル世代を中心に、身体や精神の健康を保つために、あえてアルコールを飲まないことを選択する「ソーバーキュリアス(Sober Curious)※1」という新潮流も生まれている。

このような中で、本稿では、改めて現在の日本の若者の「アルコール離れ」の状況を捉えてみたい。

ノンアルコール市場の推移
(注)1ケース=633ml×20本(大瓶換算) (資料)サントリー「ノンアルコール飲料レポート2019」より作成

酒類消費量推移
(資料)国税庁「酒のしおり(平成31年3月)」より作成

(※1)Ruby Warrington, ”Sober Curious: The Blissful Sleep, Greater Focus, Limitless Presence, and Deep Connection Awaiting Us All on the Other Side of Alcohol”, HarperOne (2018/12/31)をきっかけに広がる動き。詳しくは後述。

飲酒習慣率の変化~「若者のアルコール離れ」が見えるが、20年前でも飲酒習慣のある若者は3割


厚生労働省「国民健康栄養調査」では、「週3日以上、1日1合以上飲酒する」場合に、飲酒習慣があるとしている。なお、日本酒1合(約180ml)は、ビールや缶チューハイではロング缶1本分程度(約500ml)、ワインではグラス2杯程度(約180ml)であり、個人差はあるが、ある程度の酔いが回る量と言えるだろう*2。

この飲酒習慣率について、1997年と2017年を比べると、男性は全ての年代で、女性は20~30歳代で低下している(図表3)。

飲酒習慣率の変化のグラフ

20~30歳代の若い年代に注目すると、男性の飲酒習慣率は半分程度に低下している。また、もともと特に飲酒習慣率の低い20歳代の女性では、2017年ではわずか3%となっている。

飲酒習慣率を見ると、確かに「若者のアルコール離れ」が見える(男性では若者だけではないが)。一方で、1997年でも、20歳代男性の飲酒習慣率は3割程度であり、飲酒習慣のある若者は決して多数派ではなかった。飲酒習慣と言うと、まとまった量を飲むことになるが、毎回1合は飲まないまでも、少しだけ楽しむという層は、現在でも少なくないのではないだろうか。

*2 公益社団法人アルコール健康医学協会「お酒と飲酒の基礎知識」http://www.arukenkyo.or.jp/health/base/index.html

文=久我尚子(ニッセイ基礎研究所 主任研究員)

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