ファーウェイがSIMフリーで発売する5Gスマホ 機能は充実、勝算は?

ファーウェイの5G対応フラグシップスマートフォン「Huawei Mate 30 Pro 5G」が国内発売を迎える。最大27WのQi規格のワイヤレス充電に対応する。


ファーウェイ独自のコンテンツマーケットを採用


Huawei Mate 30 Pro 5Gにもファーウェイが独自にAndroid OSをベースにカスタマイズしたモバイルOS「EMUI」の最新版が搭載される。世代を重ねて機能をブラッシュアップしてきたユーザーインターフェースには、例えばファーウェイのPCの画面にペアリングしたスマホの画面をミラーリングしながら、ドラッグ&ドロップでデータを転送できる独自機能などが揃う。

一方でファーウェイは昨年に米国商務省の禁輸措置リスト(エンティティリスト)に登録されて依頼、従来から同社のモバイルデバイスに採用してきたグーグルのサービスやソフトウェアが使えなくなっている。

今回発表された最新端末のHuawei Mate 30 Pro 5Gも同様。日本国内でも一般コンシューマーからビジネスユーザーまでが慣れ親しむGmailやGoogleマップ、そしてGoogle Playストアなど、通常のAndroid端末には多くプリインストールされているGoogleモバイルサービス(GMS)が利用できない。このことはファーウェイにとって本機を拡販するうえでのボトルネックにもなりそうだ。


グーグルのサービスが使えない代わりに、ファーウェイ独自のコンテンツマーケットである「Huawei AppGallery」からユーティリティ、エンターテインメント系のアプリを提供する。

同社は代わりに独自のサービスプラットフォームであるファーウェイモバイルサービス(HMS)を立ち上げ、コンテンツマーケットの「Huawei AppGallery」も準備した。既に170カ国以上に展開するプラットフォームから、実用性・エンターテインメント性に富む120万を超えるアプリが利用できると強気の姿勢を見せている。

また端末にアプリをダウンロードせずに、クラウド上で動かせる「QuickApp」という独自の仕組みも作った。ファーウェイでは端末のストレージにかける負荷が減らせることをQuickAppのメリットにうたっている。ファーウェイは今後もHuawei AppGalleryについてはプラットフォームの安全性を厳重に確保しながら、ユーザーが安心して使えるアプリだけを揃えていくと表明している。さらにアプリの数と種類を充実させるための開発者支援プロジェクトも立ち上げて推進する構えだ。

カメラ機能が充実する「SIMロックフリーの5Gスマホ」の価値をどう見るか


Huawei Mate 30 Pro 5Gはガジェットファンやマニアの心をくすぐるハイスペックであることは間違いない。ただ今日では広く普及するグーグルのエコシステムとユーザー体験の一部が利用できないスマホがどこまで通用するのだろうか。高額な端末なので、購入前には店頭などでゆっくりと試してから判断する必要がありそうだ。

ファーウェイでは本機の販売を促進するための施策として、保証期間の延長や手厚い修理・設定サポートをパッケージにした「S-VIPスペシャルサービス」を用意する。ほかにもAppGalleryでのアプリとゲームの購入に利用できるポイント付与、ファーウェイ製のウェアラブルデバイスやワイヤレスイヤホンが当たる抽選キャンペーンなども合わせて展開を予定している。

Huawei Mate 30 Pro 5Gが先行して発売されている地域のユーザーレビューなどを読むとカメラ機能の出来映えはやはり秀逸であるとみて良さそうだ。高精細な写真や動画を撮って、素速くSNS等にアップロードできるネットワーク通信機能付きのモバイルカメラとして活用できる幅は広いだろう。また通信キャリアの回線契約が要らない“買い切り”タイプの5G対応SIMロックフリースマホは貴重かもしれない。5Gの使い勝手を真っ先に体験してみたいガジェットファンには良い選択肢になると思う。

文=山本敦

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