ファーウェイのエコシステム戦略の可能性 「遅かれ早かれ世界最大のスマホメーカーに」

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ファーウェイのスマートフォンはPシリーズを始め、iPhoneユーザーが多い日本でも知られているブランドだ。動きの激しいこの市場、ファーウェイが最初にAndroidスマートフォンを発表したのは11年前のことだ。当時コンシューマーには無名だったブランドを大きくした立役者が、現在も同社でコンシューマー事業部を率いるRichard Yuだ。米政府の輸出禁止措置を受け、グーグルよりAndroidのライセンスを受けられない中、独自OS戦略も進めている。

「遅かれ早かれ、世界ナンバー1になる」──強気な言葉は、いつものYuと変わらない。シェアは2017年にアップルを追い越して2位に、2019年第4四半期こそAppleが久々のトップ奪回となったため3位となったものの、サムスンの背中は近くに見えている。

それまで中国企業のスマートフォンは安さが特徴だったが、ミッドレンジからハイエンドに狙いを定めたのはYuの戦略に他ならない。戦略は功を奏し、ファーウェイはトップクラスのブランドになった。しかし、いよいよというところで米中貿易戦争に見舞われる。

スマートフォンは、5Gでのファーウェイ技術の採用でリスクがあると米政府が主張する通信インフラではない。それでも、ファーウェイは米商務省の輸出禁止措置の対象企業リストに入っているため、(猶予期間は数回延期されているものの)グーグルが開発してライセンスするAndroidのライセンスを取得できない。

将来ファーウェイのシェアはナンバー1になる



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画面を折り畳みできる「Huawei Mate Xs」を発表した。OSはAndroidだ(Photo by Shutterstock.com)

2月24日、ファーウェイは最新のスマートフォン「Huawei Mate Xs」を発表した。発表そのものは新型コロナウイルス(SARS-CoV2)を考慮してバーチャルプレスカンファレンス形式で行われたが、その後に記者の前に姿を現したYuは、「2019年は厳しい状況だった。それでも我々は回復している」と振り返る。そして、「当初の予測よりも長い時間がかかった。遅かれ早かれ、将来ファーウェイのシェアはナンバー1になる」と述べた。

Yuの自信の背景にあるのは、Androidに代わる代替OSとなる「Harmony OS」、そして構築中のエコシステム戦略だ。

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1つ目のHarmony OSとは、ファーウェイが2019年8月に発表したHuawei独自開発のOSだ。Androidアプリがそのまま動くとうたっているが、現時点ではスマートフォンでの採用は実現していない。それでも、「スマートフォンでHarmony OSを使う準備はできている」とYu、同時に「Androidエコシステムを継続してサポートしたい」と願いも見せる。それもあって、当面はスマートTVやIoTデバイスでの採用になるという。スマートフォンでの採用計画については、2020年後半に決定したいという。

ファーウェイは合わせて、Google Playに代わるアプリストア「AppGallery」も進めており、すでに日本など170以上の国で展開している。Yuはこの日、英メディア・出版のNewsが、Newsの発行する「THE TIMES」「THE Sun」などのアプリをAppGalleryで公開することも発表した。「世界ナンバー3のアプリストアだ」とYu。
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文=末岡洋子

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