片岡メリヤス 中:スニーカー工場長 上:AIRくん 左:FORCEちゃん 右:ワンちゃん
──NIKEという世界的企業がアートに価値を見出しているというのは、意義深いことですよね。
自分としても衝撃的です。「NIKEがこんなことやるんだ!」という反響をお客さんからもたくさんもらいました。この衝撃が波紋になって、アートの領域に止まらず、広く社会に影響を与えられたらいいですね。
私は由緒正しいギャラリー出身ではなく、ストリート育ちで、がむしゃらにやってきました。そういう自分が立ち上げたVOILLDでこの展示を実施できたことが、若い人たちの希望になったらいいなって。アートはおもしろくて、希望があるんだって知ってほしい。そして、その価値をNIKEがわかっていた。NIKEのように、アートの価値を感じる企業がもっと増えていけばいいなと思いますね。
VOILLD主宰の伊勢春日
すべてヒップホップが教えてくれた
──「VOILLD」について、改めて教えていただけますか?
2014年にスタートしたアートギャラリーです。作品の展示だけでなく、イベントやプロジェクトのハブとして機能することも意図しています。池尻大橋と中目黒の間にあって、だいたい20代後半〜40代半ばの方が来てくれていますね。
VOILLDらしさを言語化すると「アップカミングで、独立して活動している人たちをフックアップする」こと。ジャンルで規定することはなく、純粋に私が好きだと思う方に展示していただいています。これまでは自分と同世代の東京で活動しているアーティストがメインでしたが、今は海外のアーティストも参画してくれています。
オープンした当初は「VOILLDらしさ」を意図的に作り上げようとしていた部分もあったのですが、5年目になって地盤ができてきたからこそ、より自分のピュアな感覚に従って運営することができるようになってきました。
──先ほどストリート育ちとおっしゃっていましたが、小さい頃はどのような子どもでしたか?
一番小さいときの記憶だと、幼稚園のときに工作用の「糊(のり)」を食べ過ぎてお腹を壊してましたね。黄色い容器に入っているやつ。甘くて美味しかったですね(笑)。
自分で意識していたわけではないけど、変だったのかもしれません。小学生の頃は内向的で、運動ができなくて、ぬいぐるみと遊んでいる方が楽しかった記憶があります。中学受験がとにかくハードで、土砂降りの日も極寒の日も、毎日必死に自転車に乗って塾に通っていました。
結果的には無事に美大の附属学校に入学したのですが、その反動で、中学でブラックミュージックにはまってDJを始め、Bガールデビューをしました。大きな声では言えないのですが…。中高の間はずっとクラブに通っていましたね。