NIKEがアートギャラリーとコラボレーションするのは日本初の試みであり、さらにアート作品の販売は世界でも過去に例のないことだろうと、主宰の伊勢春日(いせ・はるひ)は話す。東京のスモール・ギャラリーが世界的ブランド企業のパートナーを務めるに至った歩みを、伊勢自身のパーソナリティと併せて尋ねた。
マルヒロ×竹内俊太郎「陶磁器製エアーフォース1」
NIKEはアートの価値を知っている
──まずは、いま開催中のNIKEとの展示「AIR」を実施するに至った経緯を教えてください。
あるご縁があって、NIKEさんから、スポーツとストリートカルチャーを軸にしたアート展を形にしたいとお声がけいただきました。
NIKEとしてアートギャラリーをサポートするのは日本で初めての試みだそうです。ナイキジャパンの方々は皆すごい熱意を持ってくれていて、私が提案することに次々「絶対やりましょう」と打ち返してくれました。例えばアーティストとのコラボレーションのスニーカーをつくるなど、当たり前のことをしても仕方ないと思い、VOILLDにしかできないアートの展示をやりきろうと。
具体的には、現代美術家の加賀美健さんをはじめ、総勢8名によるグループ展を実施し、それぞれがスポーツ、ストリートカルチャーを感じるもの、そしてNIKEのアイコニックなアイテムをテーマに作品を制作しています。ペインティング、立体、ぬいぐるみ、そして陶器といった、多様なラインナップになっています。ぜひ、実物をご覧いただきたいです。
──NIKEが公式でアート領域に取り組むのは、非常に珍しいのでは?
NIKEのロゴの入ったアート作品をつくる事例は過去にもありますが、アートギャラリーとともにコラボレーションをするのは日本では初めて。そして、その作品を販売するのはおそらく世界初の試みでしょう。会期後には作品の販売はできないので、本当に貴重なアートピースです。
池野詩織による9点の写真作品
──今回のコラボレーションを実施した背景には、NIKEとの間にどのようなやりとりがありましたか?
「NIKEという大きなブランドがVOILLDと取り組むことで、カルチャーとアートをどこまでもピュアな形で伝えられる」というありがたい言葉をいただきました。VOILLDの作家さんたちは、純度の高いモチベーションを持って自分の作品に取り組んでいます。「熱意」とは、カルチャーを形作る最も重要な要素。そこに魅力を感じるお客さんがいて、ナイキという企業が賛同しサポートしてくれたことは、大きく言えば「文化を支えて広げる」ことに繋がる。すごく意義があることだと思います。
沖 真秀「FRIENDS FOREVER」