「お祈りメール」文化に終止符を。現役大学生が描く、新しい就職活動のカタチ

Shutterstock

「選考の結果、貴意に添えかねる結果となりました。今後のご活躍をお祈り申し上げます」──この文言とともに、企業から送られてくる不採用通知の結果。いわゆる「お祈りメール」に不快感を抱いたことのある学生は多いのではないだろうか。

2014年、東京ガスが「お祈りメール」を題材としたCMを打ち出しましたが、大学生を中心に「リアルすぎて心が痛い」といったクレームが相次ぎ、わずか1カ月でCMを打ち切る事態になったこともある。

そんな「お祈りメール」で傷つく学生がいない世界を実現しよう、と現役の大学生が立ち上げたスタートアップがtabecoだ。同社は自社とアンマッチだった求職者を会社間で推薦し合えるプラットフォーム「HRport」を手がけている。

10月15日、tabecoはプレシードラウンドでイーストベンチャーズ3号投資事業有限責任組合、F Ventures Fund 2号投資事業有限責任組合を引受先とし、資金調達を実施したことを明らかにした。今回調達した資金は、HRportの開発およびチーム体制の強化に使用する予定だという。


左:CEO森海渡、右:CTO多田隆太郎


「お祈りメール」の文化に終止符を打ちたい

tabeco代表の森海渡は上智大学の3年生。高校3年生の時にビジネスに興味を持ち、人材紹介事業の立ち上げを経て、フリーランスで採用コンサルティングに従事。その後、スタートアップ2社で長期インターンを経て、tabecoの設立に至ったという。

「当時の自分は授業が終わった後、部活動に参加し、週末には友達と出かける。そんなたわいもない日常を過ごしていました。そうした日常も楽しかったのですが、少しずつ繰り返しのような毎日に意味を見出せなくなり、どうしようも無い“虚無感”を常に心のどこかで感じていたのを覚えています。

そんな中、いろんな課外活動に参加していた友人から、学生団体のイベントに来ないか、と誘われたんです。そのイベントで自分と同世代または年下の学生が本気で社会にインパクトを起こそうとしていたの見て、衝撃を受けました。その中で自分も社会に対して価値を生み出したいと強く思うようになり、その手段として起業することにしました」(森)

数ある事業の選択肢の中から、森が「お祈りメール」の問題解決に取り組もう、と思ったのは友人の存在だった。幼少期からファンだったゲーム会社から「サイレントお祈り」をされ、ひどく落ち込んでいる友人を見たとき、「お祈りメール」の文化に疑問を抱き、この問題をどうにか解決できないか、という思いに至ったという。
次ページ > 就活自殺の実態とは

文=新國翔大

ForbesBrandVoice

人気記事