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AI通信「こんなとこにも人工知能」

Alexander Limbach / shutterstock

人工知能による面接を受けた印象はどうか──。

2017年頃から「AI面接」を採用する企業が増えている韓国で、実際に面接を受けた就活生の感想が報じられた。日本でも一部企業に導入されているAI面接だが、報じられたアンケート結果が印象深かったのでいくつか紹介したい。

なお韓国では、2018年の段階で大企業を中心に約100社がAI面接を導入している。詳細としては、ウェブカメラに映し出された就活生の表情と音声、また履歴書や筆記面接に使われる単語データなどをAIを使って分析・面接する。言い換えれば、企業にとって有用な人材か否かを、言語・非言語の両要素から総合的に判断するというものである(日本ではまだ、言語的な解析に焦点が充てられている印象がある)。

反応としてまず多かったのは、AI面接へのとまどいだ。例えば、「機械に評価されたということをどう心情的に処理すべきか悩んだ」「最初は物珍しいと考えていたが、面接が進むうちに『機械にも良く見せなければならない』という感覚に襲われた」「一緒に仕事をしたい人ではなく、仕事をできるひとを無条件に選ぶという感じで無力感があった」などが典型的な意見だ。

AI面接自体に「明確に反対」という立場も少なくなかった。「採用過程で求職者の潜在力や経験があまり考慮されている気がしない」「AIが提供されたデータ以上の人間の力を見抜けるとは思えない」など辛辣な意見もある。

驚くべきことに、韓国ではすでに「AI面接用の対策講座」なるものも有料で提供され始めているとの情報もある。就職競争が厳しい韓国で就活活動を行う学生たちは、韓国語の能力検定、TOEICなど外国語能力検定などなど、あらゆる資格や対策に費用を払って面接に臨む。今年からは、その列にAI面接用の商材や教育プログラムも並ぶだろうというのが大方の予想だ。

そのため、「就活生が用意しなければならないことがまた増える」というのも、反対意見のひとつとなっている。

一方、ポジティブな意見もある。「血縁、学閥、地縁などコネで人間が判断されなくなる」「履歴書の代筆サービスなどズルが見破れるなら、AI面接の方がフェア」などの意見がそれにあたる。

総合すると、人間の先入観や関係性による癒着、判断ミスなどを削減できるというメリットがAI面接を採用する企業にあるものの、就活生側には「機械に判断されたくない」「機械に適切に自分の能力を判断できるか疑問」など、猜疑心が根強く残っているという結果になりそうだ。

一部就活生の中には、カメラで自分たちの姿を録画して「なるべく感情が表に出ないようにする」など、AI面接に向けて独自の対策を講じている人々も現れているようだ。なんだかスパイの訓練のような話だが、いずれにせよ非言語要素を採用基準とするAI面接時代には新たな対策や能力が必要になってくるのかもしれない。

連載 : AI通信「こんなとこにも人工知能」
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文=河 鐘基

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