4. 午後は、学年の行事をテレビカメラで撮影する。視聴覚担当の私は、手持ちのカメラを持って体育館へ向かった。このようにして撮影した素材を、ある程度ストックできたところで編集の手を入れる。編集卓を使ってタイトルやテロップを入れ、アフレコをして30分の番組を制作すると、地域のケーブルテレビで「学校紹介番組」として毎月放送してもらえるのだ。
・保護者や地域の人たちが、現在、学校でどんな活動や行事が行われているか知ることができる
・紙の上の二次元の情報ではなく、子供たちがどんな表情や仕草で学校生活を送っているか、生き生きとした映像で見ることができる
これらを読んで、昔からICTを積極的に活用している先進的な学校だと感じる人は多いと思う。しかし、これは私が大学を卒業してすぐに勤務した初任校で、1985年(昭和60年)当時、この学校はまだ新しい校舎が建ったばかりの状態だったのだ。
新人の私は、「新しい校舎をつくるために、町から多額の予算が投入された」と聞かされた。そして「視聴覚関係にも予算が準備されているので積極的に使うように」とも言われた。私は若さに任せて、いろいろなアイディアを提案して、これらの機器を導入してもらったものだ。
地方へ1805億円のICT機器整備費が
今、ICT機器を活用する学校が増えつつある。例えばこんな具合だ。
・教員用パソコンの全員配備
・学習者用端末の整備(現在は5.6人に1台/平成30年10月文部科学省公表)
・インターネットの利用(学校のWebサイトでの発信も含め)
先頭に立ってICT機器の整備を進めている学校や地域では、学習者用端末が1人1台となっているところも多いというが、今年、学校全体で40台しか整備されなかったという学校もあると聞いている。
また、各教室に大型提示装置どころかテレビもなかったり、教室と職員室の連絡に、先生や子供たちが行かなくてはならなかったりする学校もまだ多いのではないだろうか。
学校のICT化には、昔、私が新任教師だった時に実行したように、たくさんのアイディアとそれを支える予算が必要だ。文部科学省の資料を見ると、毎年1805億円のICT機器整備費が地方に財政措置されている。
そうなると、自治体の長の考えによって、どれだけ公立学校のICT化が進むかも違ってくる。首長にどれだけ機器を整備することのメリットを、ICT機器整備担当者がアピールできているだろうか。学校のICT化推進のカギとなるのは自治体と教育委員会なのだ。
連載:地方の現場から見た教育の今
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