ポルシェのサブスクは、アメリカのアトランタだけで実験的なサービスとして実施されている。$500の登録費と月額$2000〜$3000の利用料がかかるが、ケイマン、ボクスター、マカン、911カレラなど4〜7の人気車種が好きな回数だけ乗り換えできる。解約もいつでも自由、1ヶ月だけの利用もOK。専用のアプリで車を注文し、コンシェルジェによって自宅かオフィスなどユーザーが好きな場所に届けられ、ピックアップもコンシェルジェがやってくれる。
ポルシェの調査によれば、サブスクのユーザーはポルシェの通常の新規客よりも年収が高く(平均で10万ドル/約1070万円高い)、年齢も若い(平均で5歳若い)。サブスクによってこれまでポルシェが開拓できなかった層に需要があることが判明した、としている。
欧米を中心に展開されているボルボのサブスク「Care by Volvo」は、利用車種(XC40とS60)をしぼって価格を抑え人気を集めている。頭金不要の月額定額のサービス利用料には、保険、税金、修理メンテナンス費用がすべて含まれる。さらに、24時間のオンラインのコンシェルジェや一週間程度のレジャー用に契約範囲以外のボルボを借りられる、といった気の利いたサービスもついている。スマホやPCで申込みがすべて完結するので、ディーラに出向く手間や価格交渉のわずらわしさもない。顧客の立場に立って従来とは違う提供価値を工夫していることがユーザーの支持を集めている理由といえるだろう。
GMはキャデラックのサブスクをニューヨークやLAで導入したがうまくいかず中止している。在庫管理や清掃、傷の補修等のコストが想定以上だったこと、利用価格がリースより約50%も高くユーザーに不評だったことなどが原因と伝えられている。
フォードは、カリフォルニア州限定で高級車ブランドのリンカーンのサブスクを導入したが、メーカー側も驚くほど利用が少なくユーザーを惹きつけられていない。中古車を使って利用価格を月額$500〜$950と安くおさえたが、リンカーンの場合選択できる車種のバラエティも限られており、ユーザーにとってサービスの魅力がはっきりしないという反応のようだ。
サブスクリプション・ビジネスの勘所とは?
以下では、自動車以外の分野でのサブスクの失敗例や成功例も交えながら、サブスク・ビジネスの勘所を考えてみたい。