座学ファーストという考え方を変える
2つの例を見てきたが、この「座学ファースト」の発想が、子どもの金融教育にとっても問題になる可能性が高い。いまの日本のように、一切お金の話をしないのも問題ではあるが、親が受験勉強の様にお金の話をすることで、逆にお金のことを嫌いになったり、または間違った方向に考えが歪むかもしれない。
そこで、筆者がオススメするのは、何か特別な事をするのではなく、普段の生活の中で何気なくやっていることを金融教育という目線で子どもと一緒に話をしてあげることだ。何も難しい言葉や数式を勉強させる必要はない。
先日、子どもたちと電車を使って外出したときの話である。改札を通る時に、Suica(スイカ)やPASMO(パスモ)などの交通ICカードを使うのだが、子どもたちはそれをやりたがる。どちらがICカードをピッとするかを毎回喧嘩になるのだが、見方を変えればそれだけ興味を持っている事にもなる。そこで、改札を通る時と出る時でカードの残高が減っているのを見せてあげた。
なぜ残高が減るのかを一緒に考えると、電車に乗せてもらっているからという、大人からすれば当り前の結果に辿り着くまでにいろいろな意見が出てくるので、親子の会話を楽しむにももってこいだ。電車に乗ることでお金がかかるということになると、駅の中で他にもお金が出てくる場所はないかとキョロキョロしだす。そして見つけるのが、切符売り場の上のボードである。
そこにはいまいる駅から、目的地までの料金が路線図に記載されている。なぜ、いまいる駅から遠くに行けば行くほど料金が高くなるのか。このような大人からすれば当り前のことも、馬鹿にするのではなく理由を一緒に議論していくことで、子どもの理解力は上がっていく。
リスクを分散し低減することを教える
筆者の子どもは3人とも未就学児のため、そこまで高度な話はできないが、既に小学生や中学生になっている家庭は、実際に投資をやらせてみてもいいかもしれない。将来は誰にも予測できないし、投資対象の価格は日々変動しているから、親からすると子どもが大損するから、それは恐いと思うかもしれない。
しかし、近年ではさまざまなサービスが提供されている。たとえば、買い物をするときにポイントが付与されることがよくあるが、そのポイントを使って投資をすることもできる。筆者もポイントが好きなので、いろいろと貯めてしまうが、結局使い忘れて失効することも多い。そうであれば、どうせ失効しても痛くないようなものなので、それで投資を経験させてみるといいだろう。子どもはゲーム感覚でやり始めると、勝ちたくなるものだ。そうすると親が余計な事を言わずとも、自然と社会に興味を持って自分で勉強していってくれるだろう。
筆者もキッカケは父親から与えられたが、興味を持ってからは自分ですべて調べた経験がある。当時と違い、いまはインターネットやスマホがあるので、成長スピードは当時とはけた違いになると予想される。これからも興味をあたえ、実践させてあげられるような親でいたいものだ。
連載:0歳からの「お金の話」
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