「夫と娘のrelationship(関係性)のためにも、とても良かった。親としてバランスが取れてequality(平等)になりました。娘は何かあれば私たち2人に相談しますから」(パイヴェット)
それからは、育児も夫とは「タッグチーム」のような形で、サポートし合っているそうだ。
ヘルシンキでは、家族で歩く姿が多く見られた
鍵は、デイケアの権利
パイヴェットに、前述の私の友人のように「日本では20代で結婚や出産を機に仕事をやめてしまうフライトアテンダントが多い」ことを伝えた。
するとパイヴェットは「日本では1年間休んで、その後に辞めるケースがあるということは聞いています」と前置きし、こんなことを教えてくれた。
「フィンランドでは、市ごとにすべての子どもにデイケアの権利があります。親が共働きの場合、必ず子どもを預けることができます」
デイケアは、1、2歳~6歳が受けられる遊びを中心としたサービスだ(日本の保育園、幼稚園にあたる)。6~7歳はプレスクールで遊びながら学び、7歳から小学校に通う流れだ。日本の場合、2018年10月1日の時点で、待機児童は全国に4万7198人、東京が9833人と最も多い。これでも4年ぶりに減少へ転じたのだ。
日本も国連が定める「子どもの権利条約」を1994年から批准しており、18歳未満の全ての子どもの生きる権利、育つ権利、守られる権利、参加する権利を保障している。だが、待機児童の問題が、子供目線の権利として語られることは少ないように感じる。
フィンエアーの話に戻るが、女性は妊娠16週目までフライトアテンダントとして働くことができ、その後はオフィスワークに変えることもできる。出産してから9カ月休むことができ、3歳まで休みを延長できるので、柔軟な働き方ができる。「それぞれのニーズに合わせて変えられるのがポイント」とパイヴェットも語る。
彼女は、いちばん下の6歳になる娘を朝7時に幼稚園に預け、午後5時に迎えに行く。幼稚園では食事もしっかり与えられ、安心している。
「私が生まれたのは1973年ですが、私の母にとってワークライフバランスをとるのは難しかったそうです。80年代に入ってから、誰でも休みが取りやすいシステムや、男女問わず全ての人に同じチャンスがあるという観点からインフラが改善され、自分らしい仕事や働き方を実現できるようになってきたのです」