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2019.06.04 11:15

JPモルガン、育休巡り5億円の和解 私たちが学べる3つの教訓

Gettyimages

母親と父親は、異なる扱いを受けている──。2017年、JPモルガンに16週間の有給育児休暇を拒否されたデレク・ロトンドは、そう気づいた。社内規定には性別に関する記載がなかったにもかかわらず、ロトンドは男性だとの理由で、16週間の休暇が取得できる育児の主担当とはみなされなかった。

両者は最近和解に至り、JPモルガンは16週間の育児休暇を母親にも父親にも等しく適用することに同意した。ロトンドは満期の休暇を許可され、JPモルガンは育児の主担当としての育児休暇の申請を却下・抑止された男性社員らへの補償のため、500万ドル(約5億4000万円)の基金を設立した。

男性が育児に参加する機会を得れば、女性にとっての機会は増える。また、育児の担い手は女性だという思い込みをなくし、男性の育児能力を認めることにもつながる。女性が家庭の外で機会を得て、キャリアを向上させポテンシャルを発揮できるようになるのだ。

育児を誰が担当するかにかかわらず、その価値を認めることで男女共に自分の能力を最大限発揮できるようになるため、誰しもにとって有益となる。以下に、JPモルガンの事例から母や父、女性や男性が得られ、キャリア向上につながる3つの教訓を紹介する。

1. 自分の権利、社内規定、福利厚生について知る

JPモルガンで詐欺調査員として働くロトンドは、同社が16週間の有給育児休暇を提供していることを知っていた。会社が提供する福利厚生について知っておくこと。社内規定を読み、人に話を聞き、同僚が過去に利用したものについて調べよう。自分の権利について知るのはあなたの仕事だ。

2. 要求する

ロトンドは16週間の有給休暇を申請した。福利厚生は利用しなければ意味がない。制度を利用し、要求すること。何もせずして利益を受けることはできない。始めるのはあなたの責任だ。

3. 異なる扱いを受けたら声をあげる

ロトンドは有給休暇を却下された。会社の規則が性別を限定していなかったにもかかわらず、出産をした母親が育児の主担当として扱われると言われたのだ。ロトンドは米雇用機会均等委員会(EEOC)に申し立てを行った。ロトンドは、自分の妻が産後に職務復帰したこと、もしくは健康上の問題で育児が不可能であることを証明するように上司から言われたと説明。会社の方針が、性別やそれに基づくステレオタイプを基に従業員を差別することを禁止する連邦法と州法に違反していると主張した。

#MeToo運動から何か学ぶことがあるとすれば、それは今こそ声をあげ、人々の責任を追及するべき、ということだ。自分の権利を知り、周囲にも知らせる勇気を持とう。もしあなたが受けるべき利益が否定されたら、相手にはその行為を正当化する責任がある。

ロトンドの弁護人ガレン・シャーウィンは「男性がもっと積極的に家庭での役割を果たさない限り、職場で女性が完全な平等を得ることはない」と語った。会社が平等の実現に向けて完全に腰を上げるまでは、会社に行動を促すのはあなたの仕事だ。自分の権利を知り、要求し、人々の責任を追及しよう。

編集=遠藤宗生

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