ビジネス

2019.06.24 16:00

最高益記録のアルファベットが内部に抱える「巨大な不満」

アルファベットCEOのラリー・ペイジ(Photo by Justin Sullivan/Getty Images)

アルファベットCEOのラリー・ペイジ(Photo by Justin Sullivan/Getty Images)

6月19日に開催されたアルファベットの年次株主総会では、多様性への取組みや、契約社員の待遇差別に対する批判が噴出した。また、CEOで大株主のラリー・ペイジが欠席したことに対しても株主や従業員から厳しい意見が出た。

昨今、大手テック企業による個人データの不正利用やヘイトスピーチへの対策不足、契約社員への待遇差別などに対して、議員や社会一般から批判が噴出している。アルファベットは最高益を出したが、株主の質問は、同社が抱える様々な課題に集中した。

アルファベットに先立って行われたフェイスブックの株主総会も厳しい内容だったが、マーク・ザッカーバーグが株主からの苦言に直接答えたのに対し、ペイジが欠席したことを株主は強く批判した。

「ペイジほどの大株主が欠席するのは怠慢だ。我々株主が彼と直接対話できる1年に1回の機会を欠席するのは恥ずべき行為だ」とある株主は声を荒げた。

ペイジは、グーグルがアルファベットを設立した2016年から株主総会を欠席しており、代わりにグーグルCEOのサンダー・ピチャイが出席している。グーグルは、アルファベットの売上の99%を占める最大の子会社であるが、アルファベットの舵を握るのはあくまでペイジだ。

同社は、フェイスブックやスナップチャットと同じく複数の種類株を導入しており、ペイジと共同創業者のセルゲイ・ブリンの議決権は50%を超える。この方式は、創業者が長期的なビジョンに基づいて会社を運営できるというメリットがある一方で、他の株主の意見が無視されがちだという批判の声も上がっている。

アルファベットの取締役会会長であるジョン・ヘネシーは、「残念ながらラリー(ペイジ)は出席することができなかったが、取締役会には毎回参加している」と弁明した。

今年の総会では、創業メンバーの支配権を削減する方法に関する株主提案がいくつか提出された。議決権格差をなくすという株主提案を提出したNorthStarのChrine Jamesは、「創業者2人のビジョンと能力に依存しすぎることは、重大なガバナンスリスクだ」と述べた。

アルファベットは、株主投票の結果を公表していないが、提出された13件の株主提案は事前に予想された通り全て否決された。一部の従業員からは、ハラスメント問題の強制仲裁や、多様性への取り組み、契約社員の待遇差別、中国での検閲済み検索エンジンの提供などに関する質問や株主提案が出された。

今も残る契約社員の差別

アルファベット傘下のヘルステック会社「Verily」の正社員であるMax Kapczynskiは、グーグルがセクハラ問題の強制仲裁を中止したものの、契約社員や「Other Bets」部門の社員が対象外となっている理由について質問した。

「我々は、社内の他のエンジニアよりも重要度が低いということなのか? 全社員に平等な権利と自由が認められるべきではないのか?」とKapczynskiは述べた。

昨秋、グーグルがセクハラ被害に遭った従業員に強制仲裁を要求していることがニューヨーク・タイムズの記事で明るみに出ると、2万人の従業員がデモ活動を行った。これを受けて、同社は強制仲裁を中止すると発表した。

グーグルの経営幹部は、同社が行った契約社員の待遇改善を、外部ベンダーも実践することを期待すると述べた。グーグルは最近、米国内の全ての契約社員に対して健康保険を提供し、最低賃金を時給15ドルに引き上げると発表したが、仲裁ルールの変更については何も取り決めていない。
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編集=上田裕資

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