この数年、グーグルは契約社員を待遇面で差別しているとして厳しい批判に晒されている。同社では、全世界の従業員のうち、契約社員が半分以上を占めているにも関わらずだ。
同社のグローバル・アフェアーズ部門責任者によると、アルファベット傘下であっても、Verilyやウェイモなどの子会社は、強制仲裁に関して独自の決断を行う立場にあるという。また、Other Bets部門の従業員には独自の株式報酬を導入しており、報酬がアルファベット全体の業績ではなく、部門傘下の子会社の業績に連動しているという。
総会後半には、グーグルのエンジニアであるIrene Knappが、経営幹部の報酬を、人種や性別の多様性、ジェントリフィケーションと住民の強制退去といったサステナビリティ指標と連動させるべきだと提案した。
Knappは、この1年で退職した従業員たちを引き合いに出し、「人的資本のリスクは、理論上のものでも将来的なものでもなく、既に顕在化している」と述べた。
中国の検索エンジン事業の行方
2018年からコーポレートエンジニアリング部門に勤務するTyler Holsclawは声明を読み上げ、グーグルが中国での計画に関して人権インパクトアセスメント報告書を発表するべきだと主張した。昨秋、グーグルが中国向けに検閲機能付き検索エンジンを開発する「Drgonflyプロジェクト」を進めていることをThe Interceptが報じると、多くの従業員が抗議し、退職者が続出した。経営陣は報道内容を否定したが、多くの人は納得していない。
「グーグルに抱いていた信頼は、恐怖に代わった。中国人の人権侵害に加担したことに対する恐怖であり、世界中の人を迫害する仕事に携わっているという恐怖だ」とHolsclawは、同僚が書いたという声明を読み上げた。
グーグルに6年間勤務しているMarieという社員は、質疑応答の中で従業員の代表者を取締役会に加えることに対する経営陣の考えを質問した。「経営トップは、従業員やユーザーを取り巻く現実や、その中で果たすべき責任について理解していない」と彼女は述べた。
また、2名の株主は、グーグルがAI倫理諮問委員会の委員に指名した保守系シンクタンクのKay Cole James所長が反LGBTだとして批判されたことを受け、委員会を解散したことに遺憾の意を表明した。「この会社は、どうしてこれほどまでに考え方の多様性を恐れるのか?」と彼らは述べた。
この2名は、反保守バイアスについても述べた。フェイスブックやツイッターも、リベラル過ぎるとの批判を保守層から受けている。グーグルは、2017年にグーグルの多様性に対する取り組みを批判する社内メモを書いたエンジニアのJames Damoreを解雇して以来、同様の批判に晒されている。グーグルは、同社のプロダクトに政治的なバイアスが反映されていることを長年に渡って否定している。