ソフト面からのITへのアプローチでは、「@cosme」をはじめとするランキングサイトや美容情報サイトでのEC販売が盛んになり、また「ホットペッパービューティ」のような美容関連ビジネスの予約サイトが堅調に推移している。ちなみに@cosmeを運営するistyleは、海外の同業種の会社を買収し、積極的に攻めに出ている。日本発で世界を席巻して欲しいと心から期待している。
アメリカの市場では、大手のLVMH傘下の「セフォラ(Sephora)」をはじめ、アマゾン以外の美容サイトが非常に強い。いくらアマゾンが巨人でも、こと美容となると、勝手は違うらしい。イメージとか、使い手の気持ちとか、微妙な色とか、変動する流行とか、サイトに載せる情報は毎シーズン変わるので、そのあたりでアマゾンより優位に立っているようだ。日本では撤退したセフォラは、全世界で2000店舗以上も展開している。
またアジア全体に目を向けると、各国が日本の美容グッズや化粧品を積極的にネットで買っている。日本人がアメリカからお取り寄せをしているのと同じ現象である。そういう意味でいえば、日本の美容は、海外の大手サイトとは別の次元で、まだまだ伸びる可能があるのだ。
ただ、日本の美容サイトの課題は、日本人の着目点がアジアや欧米の外国人とかなりずれているため、日本のサイト情報があまり海外では魅力的ではないところだろう。この面においては、ガラパゴス化しないことを願いたい。
ネックになるのは「英語力」か
そのうえで最大の課題は、英語によるサイトの充実ではないかと思う。自動翻訳があっても、そもそも英語でのサイトがないと、国際的な検索には引っかからないのだ。
中国で北京大学の構内を歩いている学生さんと何気なく会話すると、どの学生も流暢な英語を話す。以前にも触れた、米国で開かれたナチュラルプロダクツの展示会でも、中国のビジネスマンは英語を流暢に話し、雑談から商談へと持ち込んでいた。日本の人たちにとっては、この英語での「腕力」が、大きな課題に思える。
進むEC化とともに、ビジネスもますます国際化するとき、どうしても常識を超えた「力技」が新しい局面をつくるのだ。日本の美容業界の伸び代は、ひとえに英語力にかかっていると言っても過言ではない。
連載:オトコが語る美容の世界
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