ビジネス

2019.05.27

需要も伸び代もある日本の美容業界、課題は「英語力」

RUBEN M RAMOS / Shutterstock.com

日本でも小売業のEC化の流れは急で、美容業界も、ITをどうやって女性向けに応用するか、その対応策をめぐり日々奮闘している。

ハード面からのわかりやすい事例は「肌診断」だろう。百貨店の化粧品売り場やエステサロンでは、顔のシミや水分のチェックというカウンセリングの際に、アプリなどと連動して肌管理ができるマシーンが採用されている。とくにエステサロンでは、このマシーンが、スチーマーなどと連動するものも出てきている。

あまりITと相入れない業界か

美容関連の展示会では、これまた多種多様な「新兵器」も目にする。ITやデジタルデータを活用するものが増えてきているとはいえ、ただの脱毛機器やダイエット器具など、デジタル度の低いものも数多く出品されている。

ITの技術を取り入れなくても問題のない業界なのか、はたまた、これからその分野も伸びていくのか、美容業界自体も悩んでいるようにも見える。

最近では、アプリと連動した店頭でのカウンセリングも、以前ほど行われていないように思われる。単純に女性がそういうものに親しみを感じていないのか、それとも思うような効果が得られないのか、美容業界としても悩みどころではある。

考えるに、美容という世界では、フェイストゥーフェイス、つまり人と人が相対するのが基本のようなのだ。それはITやデジタルでは代替できない、あるいは満足感が得られないフィールドのビジネスだと言えるだろう。

アメリカのアマゾンのサイトをのぞいてみても、十年一日、同じような美容の器具が販売されており、業界的にもあまり進歩がないとも言える。テクノロジーを活用したアプリを例にとっても、肌診断や自分の写真にメイクできる程度のもので、そんなものはゲームと同じで、現実の肌の悩みはアプリでは解決できないので、結果的に長続きもしない。

ただ、そんななかでも、注目すべき新しい試みはある。広尾の歴史あるサロン「アンソリットボーテ」には、オーナー肝いりのデジタルミラーがあり、セット面に座ると、鏡がタッチスクリーンになっており、鏡に映った自分と連動するCGなどが登場し、希望する髪型や色が事前にわかる仕掛けになっている。

実は、美容業界では、こういった高い信頼度が要求される手仕事に、デジタル技術が援用されるのが最高の組み合わせであり、一度は体験したい最新のサービスだ。もちろん男性でもこのデジタルミラーは対応可能だそうだ。
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文=朝吹大

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