『ONE WORLD FESTIVAL』のパートナーには、映画制作をサポートするメディアパートナーも含めると、121もの団体・民間企業が名を連ねている。主な運営資金は、政府からの援助が30%、残りは民間企業・団体からの出資だ。政府や大企業、大手メディアがこぞってスポンサーに名乗りをあげるドキュメンタリー映画祭とは、一体どんなものなのだろうか。
「『ONE WORLD FESTIVAL』の最も重要なミッションのひとつは、教育なんだ。僕たちは6~15歳向けの教育プログラムも提供していて、学校の授業の一環として生徒がドキュメンタリー映画を観る。それも教室のスクリーンで見るんじゃなくて、映画館に実際に行ってちゃんと鑑賞して、そのテーマについてのディスカッションをする。ドキュメンタリー映画の見方や楽しみ方を、映画館という環境も含めて総合的な体験として学ぶんだ。そのために、フェスでは子ども向けのショート作品専門の『Docs for Kids』部門を作ってるんだけど、その上映会は子どもたちだけでいっぱいだよ」
「Docs for Kids」部門には、難民キャンプで生きる10歳の少年や、女の子は結婚して子どもを産むものとされているルーマニアで警官になることを夢見る12歳の女の子など、同世代の子どもたちが抱える問題や悩みにフォーカスした6作品がエントリーしている。
「若い世代の方がよりドキュメンタリーへの関心が高いね。このフェスの客層はだいたい20代~30代が多いんだけど、昔学校の授業で映画を観に来たっていう人もかなり増えてきてる。『ONE WORLD FESTIVAL』は1999年から始まって、今年でもう21回目だからね。そうやって幼い頃からドキュメンタリーに触れて、そのおもしろさを知った世代が大人になっていく。彼らがまたお客さんになったり、映画の作り手になったり、ビジネスとして関わるようになったり。そういう全てがつながっていくんだよね」
「ONE WORLD INTERACTIVE」部門にはVR映画12作品がエントリー。他にも「INTERNATIONAL COMPETITION」など大賞の選考となる部門に加えて、「RIGHT TO KNOW」「JOUNREYS TO FREEDOM」「UNEARTHED」などテーマ性のある14の部門に117作品がエントリーしている。