ホスピタリティが充実 ラグビー発祥の地を訪ねて

ラグビーの発明者と言われるウェブ・アリスの銅像。

昨年11月、ラグビー発祥の国であるイングランドと日本代表のテストマッチを観戦する好機を得て、英国を尋ねた。舞台は英国ラグビーの聖地、8万2000人収容のトゥイッケナム・スタジアム。日本代表は前半を終えて15-10でリード。サッカーであればイングランドファンから自国選手の不甲斐なさに大ブーイングが浴びせられるところだが、ただざわめきが満ちただけ。後半に主力選手を投入したイングランドが日本を圧倒し逆転するのだが、ファンの控えめな反応が、英国でラグビーが上流階級のスポーツであることを如実に示していた。

テストマッチの後には歴史あるラグビーパブ「ザ・サン」へ。トゥイッケナムで試合がある日には試合開始前からファンがビールを飲みに集まる。そしてスタジアムでも大量のビールを飲み、試合後はまた「ザ・サン」に戻って……。彼らは本当によくビールを飲むが、これも英国のラグビーカルチャーの一つだ。


パブ「ザ・サン」のドア。HOME OF ENGLISH RUGBYの言葉が大きく書かれている。

時は前後するが、このテストマッチの前には、トゥイッケナム近郊のリッチモンド・アスレチック・グラウンドで特別な試合が行われていた。2003年にイラクで凶弾に倒れた外交官、奥克彦を偲ぶ「奥記念杯」だ。この日は奥も所属したロンドン在住の日本人チームと、オックスフォード、ケンブリッジOBで構成される英国チームが対戦。ラグビーワールドカップの日本招致にも貢献した奥とラグビーを通じ、日英が国際交流を深めた。


毎年11月頃に開催される奥記念杯の様子

印象的だったのは、プレミアシップラグビー、ブリストル・ベアーズのホームスタジアムであるアシュトン・ゲート・スタジアム。2016年に改装したばかりの最新のスタジアムは、ホスピタリティの充実が目覚ましい。通年で販売しているビューボックスはビジネスミーティングの場として機能し、ホスピタリティ・チケット購入者のためのレストランを設けるなど、ラグビーの試合に集う人々が快適にゲームを楽しむための施設が充実。


ホスピタリティチケット購入者のための特別なレストランの様子。

文・写真=青山鼓

この記事は 「Forbes JAPAN 地方から生まれる「アウトサイダー経済」」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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