ビジネス

2019.03.02 11:00

「子供が産めなくなるかも」危機感が自身を変えた。女性のための企業データベースで日本人初優勝、Clarity古谷聡美

Slush Tokyo 2019のピッチコンテストで優勝した「Clarity」の古谷聡美


公平性を意識、より詳細なデータを見やすく
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──他のサービスと違う点を教えてください。

女性視点で、公平に情報やデータを集めている点です。

現在は福利厚生、人事制度のデータベースとして4000社以上のデータが無料で閲覧できます。求人票などには「福利厚生充実」など限定的な情報しか掲載されていませんが、ある会社は育児時短勤務の対象が小学校4年生まで、ある企業では小学校を卒業するまでなど違いがあるので、ぜひ転職活動の参考にしていただけたら嬉しいです。
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これからは男女比や平均残業時間といったデータを見やすいグラフで公開したり、企業に働き方アンケートを導入してもらって独自のスコアを公開したりなど、より情報の質と厚みを高めていく予定です。

──ピッチコンテスト優勝の率直なご感想を教えてください。

勝つと思っていなかったのでとてもびっくりしました。Slushでピッチできるだけでも十分光栄でしたし、どのような結果であっても、あの場でたくさんのオーディエンスにお話を聞いていただけただけで十分有難いことだと思っていました。私たちよりもっと優れたサービスやチームがたくさんあったと思うので、本当に幸運だったと思います。



──プレゼンで気をつけた点、最も訴えたかった点を教えてください。

女性起業家で、女性向けサービスということでバイアスがかかりやすいため、あえて感情に訴えかけるようなピッチではなく、数字や経済損失といった合理的な説明ができるよう心がけました。各ポイントをシンプルに分かりやすく伝えられるように、スライドのデザインやスクリプトを工夫しました。

リリースして1年未満で他の登壇者の方と比べるとトラクションや売上の点が弱かったため、成長する可能性が高くその兆しが数字で出始めていることを端的に伝え、机上の空論ではなく、現在の繋がりの先にある確実な未来であることが伝えられるように心がけました。

──Clarityを通じて実現したい世界について教えてください。

女性が希望の持てる社会を創りたいと思っています。先進国である日本では、本来なら自分のやりたいこと、叶えたい夢、理想のライフスタイル、働き方を追求できるはずです。しかし行動する前に諦めてしまったり、「こうあるべき」「これは無理」などと固定観念に囚われてしまっていたり、「できる」と信じられずに留まってしまったりしていると思います。

「できる」という希望を持って心から信じることができた時の、人間のパワーはとても強く、明るいと思います。Clarityのサービスを通じ、こんな働き方もできる、こんなライフスタイルもできるかもしれないんだ、と、たくさんの可能性の扉を見つけてもらいたい。そして女性たちが小さくても一歩を踏み出せたり、考えを開けたりしたらいいなと思っています。

Clarity
https://www.clarity.tokyo



古谷聡美◎2010年、成城大学社会イノベーション学部卒。海外企業の日本市場参入支援を行うBPOコンサルティング・アウトソーシング会社に入社し、米国人公認会計士の社長秘書とアシスタントコンサルタントを勤めた。その後外資系広告代理店に転職、アカウントエグゼクティブとして様々なグローバルブランドのブランドキャンペーンや新商品ローンチを担当した。28歳で退職、2018年1月に株式会社Clarityを設立。

文=林亜季

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