「21世紀サステナビリティ経営の極意」

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日本の代表的な料理と聞かれて、多くの人が答えるにちがいない「寿司」や「天ぷら」。他にも刺し身、たこ焼き、かまぼこなど、魚介を使った料理はたくさんあるし、鰹節はあらゆる日本食に欠かせないエッセンスだ。

しかし、いつまでこれらが「日本の料理」でいられるのだろうか。寿司屋からマグロやエビが消えてしまうかもしれない──。それほど、魚介類の未来は不透明になってきた。

日本の魚介類自給率はわずか56%

その危機的な状況を如実に表すデータの一つが、農林水産省が発表している「食用魚介類の自給率の推移」だ。かつて日本は魚介類の輸出国だった。1960年頃には食料自給率は113%と国内需要を大きく上回っていた。しかしその後、自給率は年々下降し、2016年には56%になってしまった。今や日本の魚介類は「輸入モノ」に依存している状況だ。

より詳細に見れば、2000年頃に自給率は50%を切り最も低くなったあと、少し回復した感はある。しかしその背景は、国内での漁獲量が回復したわけではなく、日本人の「魚離れ」によって国内の消費量が減ったためだ。実際に、国内の魚介類消費量は、1995年頃には年間900万トンほどだったのが、2016年には579万トンまで落ち、約3分の2になった。

「魚離れ」で魚の消費量が減ったのに、それでも魚介類自給率が大きく下がったということは、日本の漁獲量が激減してきているということだ。どうしてか。メディア報道では、いわゆる「漁師の後継者不足」に着目することが多いが、それ以上に深刻なのは、海から魚が消えてきていることだ。

魚介類の種類ごとの生息数のことを、専門家は「資源量」と呼ぶ。水産庁は、1984年以降に漁獲量が激減した主要因を「海洋環境の変動の影響受けてマイワシの資源量が減少したため」と分析している。最近では、サンマやスルメイカも資源量が減少してきており、漁獲量が低迷している。

国際的にも、マグロの資源量低下は危機的状況となり、太平洋クロマグロと大西洋クロマグロはともに絶滅危惧種に指定されている。漁師の後継者不足は、こうして海から魚が消えたため、漁獲量が減って経営が苦しくなってきたからとも言え、根本原因は「資源量」だ。

世界が取り組む“漁獲”制限、日本は?

過去の魚介類の資源量低下は、乱獲によるものが大きい。発展途上国の経済発展や、海外での健康食ブームで、一人当たりの魚介類消費量も増えている上に、人口そのものも急増している。人の胃袋を満たすために、水産関係者は大量に魚を獲り、流通にのせていく。資源量が低下するのも当然だ。

今や漁業にとって、資源量管理は必須事項だ。例えば、イギリスで有名な「フィッシュ&チップス」で使われる北海産の鱈(たら)。1970年代には27万トンの資源量が確認されたが、2006年には4.4万トンにまで激減。理由は乱獲だ。そのため、北海沿岸国は、たらの漁獲枠を大幅に規制し、今は15万tほどまでに回復した。同じことは、アメリカのボストン沿岸でも発生し、アメリカでも大規模な漁獲制限が実施されてきた。

文=夫馬賢治

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