「プラごみ」で死ぬクジラと、急成長するアジアの責任

Napong Suttivilai / Shutterstock.com

インドネシアの海岸に打ち上げられたマッコウクジラの死骸の胃袋から、2足のビーチサンダル、115個のコップ、25枚のビニール袋、そして4つのペットボトルなどが見つかった。

ワカトビ国立公園のスタッフが死骸を発見した場所は、多くのダイバーが訪れるスラウェシ島の海岸だ。

クジラの死骸からプラスチックごみが見つかる事例が最近相次いでいる。今回発見された体長約9.5メートルのマッコウクジラは1000個以上ものプラスチックを飲み込んでいた。腐敗が進んでいるため死因の特定は困難だが、プラスチックごみが一因であると地元の野生動物専門家は見ている。

このクジラが飲み込んだプラスチックごみの写真を、WWF(世界自然保護基金)がツイッターに載せた。それによると、クジラの胃の中から見つかったプラスチックごみの総重量は5.9キロで、固いプラスチック片が19個(140グラム)、ペットボトル4個(150グラム)、ビニール袋25枚(260グラム)、サンダル2足(270グラム)、ビニールの紐が3.26キロ、そしてプラスチック製のコップが115個(750グラム)だった。




海洋保護団体「Ocean Conservancy」が2017年に行った調査によると、世界の海に漂うプラスチックごみの60%が、アジアにある急成長中の5カ国から出ているという。

その5カ国とは中国、インドネシア、フィリピン、タイ、そしてベトナムだ。この5か国だけでそれ以外の世界各国から出ているプラスチックごみを上回っている計算になる。これらの国々の経済が発展して生活が豊かになるにつれ、使い捨ての商品への需要が高まっているが、それを回収するシステムが追いついていないのが現状だ。

フィリピンから出ているプラスチックごみの74%が、適切に管理されていないと、Ocean Conservancyは指摘している。その大きな要因として挙げられるのが、ごみ収集場が海につながる水路に隣接していることだ。

海に漂うプラスチックごみが過去最大に膨れ上がる中、海の清掃プロジェクトも行われている。2013年に18歳のオランダ人発明家が立ち上げた「Ocean Cleanup」は、海に浮くゴミを回収するブイを実用化しようとしている。集められたごみは船で回収してゴミ収集施設まで運ぶ仕組みだ。

編集=上田裕資

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