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I cover geology, earth science, and natural disasters.

フィッシュレイク国立森林公園のアスペンの森林(Kreig Rasmussen / shutterstock.com)

ユタ州のフィッシュレイク国立森林公園内で数千年もの間、生きながらえてきた世界最大の生命体が、危機に瀕している。

その生命体とは「パンド」と呼ばれるアスペン(ヤマナラシ)の森林だ。コロラド州を訪れたことがある人なら、アスペンを見たことがあるだろう。秋には葉が鮮やかな黄色に変わり、風が吹くと葉が鳴ることで有名だ。

アスペンは1つの根系から遺伝子が同一の新芽が生まれ、無性生殖で増えていくという特徴がある。そのため単一の根系で広大な土地に広がる特徴がある。

その典型がユタ州リッチフィールドにあるパンド(アスペンの森)で、単一の雄株から数千年をかけて4万7000本のクローンが誕生し、広さは106エーカー(約43万平方メートル)にも及んでいる。

ユタ州立大学が学術誌「PLOS ONE」に発表した論文によると、このパンドは数十年前から面積が小さくなり、枯れるペースが生まれるペースを上回っている。研究チームは現地調査を行い、72年分の航空写真を使ってパンドの移り変わりを調べた。

原因は動物の放牧と人間の活動のようだ。夏季は森で放牧されているミュールジカと牛が新芽や新葉を食べてしまい、アスペンの成長を妨げていると見られる。

パンドが数千年をかけて4万7000本にまで増えることができたのは、あらゆる成長段階の木が混在していたからだ。しかし、動物が新芽を食べることにより、このサイクルに狂いが生じてしまった。

もう一つの要因は、人間がキャンプ場やハイキングコース、小屋を作ったり、電線を敷くなど開発を行ってきたことだ。これら2つの要因により、パンドの森は過去50年間、縮小し続けてきたのだ。

しかし、フェンスを設置することでパンドを保護できることも分かっている。今回の研究結果は進行中の保護活動の助けとなり、世界最大の生命体がゆっくりと死に向かっていることを世界に広く知らせることにことにつながるだろう。

編集=上田裕資

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