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国境は知っている! 〜ボーダーツーリストが見た北東アジアのリアル

旧奉天郵便局の前の通りをシェアサイクルで走る瀋陽の若者たち

7月上旬から8月にかけて約1カ月間、中国の東北三省(遼寧省、吉林省、黒龍江省)の都市や辺境エリアを訪ねる機会があった。北京や上海、深圳など、メディアによく取り上げられる大都市圏ではなく、名も知れぬ地方の小都市(といっても中国ではたいてい日本の県庁所在地くらいの人口はいるのだが)を訪れて見えてきたことがある。

それは、中国では、もはや大都市圏より地方のほうが暮らしやすいのではないか、という実感だ。

なぜなら、衣食住のコストは安く、競争やプレッシャーもゆるいし、人々も日々の生活に困っている様子はうかがえないからだ。鄧小平が言った「小康社会(衣食に困らず、経済的に比較的余裕のある生活)」は、少数民族エリアや一部の貧困地区を除くと、すでに実現されているのではないかと感じざるを得ないのである。

しかも、スマホによる決済システムと、それに連動したさまざまな生活サポートアプリが普及し、サービスを競い合っている。

たとえば、中国では乗り捨て自由のシェアサイクルが普及し、市民の足となっている。料金も格安で、30分乗って1元(16円)ほどだ。昨年末頃から上海などでは自転車の過剰投入による路上放置問題が起きているが、後発で今年春くらいから始まった地方都市では、自転車の数もまだ適度で、そこまで問題となっていない。


1910年に東京駅を模して建てられた瀋陽駅の前の通りをシェアサイクルで走る女性

今回、遼寧省瀋陽市で、シェアサイクル大手のMobikeを利用したが、現地の友人と一緒に、自転車で見知らぬ異国の街を走るのは楽しかった。シェアサイクルは旅行者にこそ、便利で使えるサービスであることも実感した。

瀋陽といえば、20世紀前半に、日本が支配した満洲国の主要都市である(当時は奉天と呼ばれていた)。市内には日本時代に建てられた近代建築が数多く残っているが、すでに高速鉄道や地下鉄網も整備されたこの都市の若者たちは、通勤や通学にシェアサイクルを利用している。その光景はかつての時代を知る人にとっては感慨深いものがあるだろう。

中国はすでにQRコード社会

この種のサービスが日本より進んでいることを改めて実感するのは、中国のオンライン旅行大手Ctripが提供するTrip.comを使用するときだ。このアプリをダウンロードしておけば、中国のホテルや航空券、鉄道の予約が簡単にでき、その場でモバイル決済もできる。食事や打ち合わせが長引き、何時の列車に乗ればいいか決められないときでも、駅に向かうタクシーの中で最速の便を予約できる。

こうした移動手段のお手軽なスマホ予約・決済は、中国ではいまや常識となっている。大都市圏だけでなく、地方の町や農村でもそうだ。実際、トウモロコシ畑に囲まれた人里離れた村でも、人々はタクシーや飲食店の支払いにモバイル決済を利用していた。

いまの中国はQRコード社会でもある。現地の人が手渡してくれるホテルやレストランなどのビジネスカードや名刺には、当たり前のようにQRコードが付いている。それをスマホでスキャンすると、アプリが立ち上がり、それぞれの施設や企業の情報が公開される。

ホテルのフロントで手渡されたカードを、出先からタクシーの運転手に渡し、スマホでQRコードを読み込んでもらうと、GPS機能を通じて自動的にホテルまでナビしてくれるというサービスもあった。日々の生活を快適で便利にするために何ができるかを常に考えている未来志向の社会に、中国が進化していることに気づかされる。

文・写真=中村正人

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