テクノロジー

2018.09.12 08:30

18歳が発案、ピーター・ティールも支援の「海洋ごみ回収作戦」

The Ocean Cleanupの浮き(photo courtesy of The Ocean Cleanup)

プラスチックごみを海から追放する野心的プロジェクトが「Ocean Cleanup」だ。Ocean Cleanupは太平洋ごみベルト(Great Pacific Garbage Patch)に漂う、18兆個ものプラスチックごみを回収するべく、2000万ドル(約22億円)の費用を投じたごみ回収フェンスを投入する。

海に浮遊するフェンスは9月8日にサンフランシスコ湾から投入され、数週間にわたるテストの後に本格稼働する予定だ。Ocean Cleanupは2013年に、当時18歳だったオランダ人のBoyan Slatによって設立された。彼らのミッションは「世界の海からプラスチックをなくすための先進技術」を開発することだ。


Ocean Cleanup を設立したボイヤン・スラット氏

彼らは浮遊式のフェンスを複数投入することによって、最初の5年間で太平洋ごみベルトのごみの半分を減らすことを目標に掲げている。フェンスはカリフォルニアとハワイの間の海流に乗って移動し、1つあたり年間最大15万ポンド(約6万8000キログラム)のプラスチックごみをキャッチできる。

太平洋ごみベルトは北太平洋の中央にあるごみの渦だ。ハワイとカリフォルニアの中間に位置し、1980年代半ばに発見された。

太平洋ごみベルトはあまりに広大なため衛星からもその存在が確認できる。広さはおよそ160万平方キロメートルで18兆個のごみから成っている。



このフェンスはテストを行った後に、1400マイル(約2250キロメートル)の距離をけん引されて移動し、10月中旬からごみの回収を始める。フェンスは海流に乗ってU字型になりごみを集める仕組みだ。10フィート(約3メートル)の深さのネットで海中の細かなごみも集める。ネットがいっぱいになると船でごみを回収し、リサイクルするために陸地へと運ぶ。

ネットが深すぎないのは魚が下を泳げるようにと考えたためだが、魚がネットに引っかからないかどうかは実際に検証してみる必要がある。

「Ocean Cleanup」の技術はまだ検証段階だが、これほどの規模でごみを回収できるシステムは他にない。

「Ocean Cleanup」はペイパル共同創業者のピーター・ティールや、セールスフォースのCEOのマーク・ベニオフなどの支援も受けている。

編集 = 上田裕資

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事