輸入モノも、資源量管理をしなければ、当然、日本に入ってこなくなる。実際に、世界の漁獲量は1985年以降ほぼ横ばいで、それ以降の需要増加分を養殖で補ってきた。天然魚漁獲量の横ばいだって、イギリスの例で紹介したように「とりすぎ」の状態で、持続可能性がない。
こうした非常に深刻な魚の将来を前に、いま注目されているのは、持続可能な漁業という考え方だ。具体的には、資源量を考慮したり、希少種を混獲しないようにしたり、乱獲につながる漁法をやめることなどのことで、これらを第三者機関が認定する「認証魚介類」が世界的に広がりをみせている。
有名なものには、MSC認証やFOS認証がある。イギリスの大手スーパーマーケットは、過去2、3の間に、お客さんに末永く魚を販売できるように、店頭の魚介類を全て「認証魚介類」にすることを相次いで発表した。アメリカのビッグ小売チェーンのウォルマートも同様の取組を進めている。
しかし、日本のスーパーマーケットや外食店には、まだ持続可能な漁業という考えが普及していない。もっと言えば、そのような魚介類は「値段が高くて嫌だ」「認証をとってもお客さんが買ってくれるわけじゃない」と否定的な声も強い。
では、このまま本当にいいのか。魚介類そのものが日本近海で獲れなくなり、輸入できなくなっていってしまう。そしたら、寿司屋も定食屋も魚を提供できなくなり、スーパーマーケットからも魚が消える。長期的に売上を維持もしくは伸長させるために、やるべきことをやる必要がある。
連載:21世紀サステナビリティ経営の極意
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