AIをつくるには、2種類の「人」が必要だ

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前回の記事で、小学校でプログラミング教育が必修化されることについて触れました。必修化された背景のひとつとして、AIの発展が間違いなく挙げられるでしょう。

「AIが人の仕事を奪う」なんて話もよく耳にしますが、実際のところはどうなのでしょうか?現状のAIでは何が、どこまでできるのでしょうか?

それを考えるのに欠かせないのが、今のAIブームの火付け役でもある「機械学習」や「深層学習」あるいは「ディープラーニング」と呼ばれる技術です。名前に関してはすでにご存知の方も多いかもしれません。

これらの技術について詳しい話を始めると、それだけで本が一冊書けてしまうので割愛しますが、端的に言うと、いずれも「パターン認識を行っている」のです。

ここで注意して欲しいのは、AIが特別なことをしているわけではない、という点です。パターン認識は人間自身が生きていく中で常に行っていることであり、AIはこうした人間の知的行動を模した結果できたものに過ぎません。

例えば、読者のみなさんはこうして文字を見ていますが、頭の中では自分が見てきた「文字のパターン」と比較することによって、それが何の文字かを認識できるようになっているはずです。まさしくこれはパターン認識をしていることに他なりません。

もちろん、文字の識別なんかでは「自分は今パターン認識をしている」とは意識していないでしょう。では、仕事ではどうでしょうか?新しい仕事に取り掛かるときに、過去に似た仕事をやったことがないかを考えたりしませんか?そして、その経験をもとに新しい仕事をこなそうとはしませんか?それもまさしく「パターン認識」なのです。

このように、人間はこれまでの経験からパターンを作り出し、そこから物事を判断しています。AIにとって、この「経験」に相当するものがデータなのです。ですので、どんな経験をさせるか、すなわちどんなデータを与えるかによって、AIが学びとれるパターンも異なりますさらに、この学びとるパターンに関しては、次の2つに分けることができます。

・人間には認識できないパターン

・人間にも認識できるパターン

世の中で「AI」と言ったとき、イメージされがちなのは前者が多いかもしれません。これは、AI が「人間を超える存在」として捉えられているからでしょう。しかし実際のところは、現在のAIは後者をベースとして実用化されているものがほとんどです。

例えばAIの取り組みとしてよく話題になる自動運転なんかも、運転自体は人間にもできるわけですが、ここで認識しているパターンは、道路だったり、前を走る車や人間だったりするわけです。

あくまでもAIは「人工的な知能」なので、「人間にもできることをきちんとやってくれる存在」として、価値があるのです。では、このAIが人間より優位に立てるところはあるでしょうか?これは次の2つを挙げることができるでしょう。
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文=巣籠 悠輔

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