FCバルセロナ(スペイン)、サントスFC(ブラジル)、ビジャレアル(スペイン)──。
海外のプロサッカーリーグのチーム名を羅列したわけではない。これらは、アカツキが立ち上げたeスポーツの新リーグ「LPE」に参加表明したチームの名前だ。
なぜゲームで対戦するeスポーツの新リーグに、歴史あるサッカーのクラブチームが参加することになったのか。
これらの錚々たるチームを引き入れた立役者こそ、アカツキが8月に子会社化した「PROFESSIONAL ESPORTS LEAGUE, S.L.(以下PEL社)」のCEOを務めるXavier Cortes Tuvio(チャビ・コルテス・トゥビオ)だ。
eスポーツはスポーツか
eスポーツは、デジタルゲームで対戦する競技や大会の総称だ。ゲームプレイヤー(選手)がプロチームを結成し、オンラインあるいは現実の会場に集まった観客の前で対戦する。ゲームタイトルの版元企業などがスポンサーとなってリーグやチームを運営したり、大会を主催することが多い。
米調査会社Newzooは、eスポーツ業界の市場規模は2019年度に世界で11億ドルを超えると予想。また、アジアオリンピック評議会は、eスポーツを22年の競技会におけるメダル種目への採用を決定した。
そんな盛り上がりをみせるeスポーツの話題となると、必ずつきまとう疑問がある。「eスポーツとはそもそも『スポーツ』なのか?」という問いだ。普通のデジタルゲームなのに、なぜそれを「ゲーム」ではなく「スポーツ」と呼ぶのか。
この疑問に対してチャビは、「僕はスポーツだと思っているよ」とはっきり答えた。一流の舞台で戦うeスポーツ選手には、スポーツと同じく高度な集中力やチームメイトとのコミュニケーションが求められるからだという。
「特に欧米では一般のデジタルゲームプレイヤーと、競技として取り組むプロのeスポーツプレイヤーは、はっきり違うと理解されるようになっている。例えば『Clash Royale』(戦略シミュレーションゲーム)の選手は、毎日2時間、ゲームのトレーニングを欠かさず行い、それ以外の時間で食生活やフィジカルの調整をする。そうしなければプロとして戦えないからね」
試合に勝つため、選手にはアスリートとしての資質が求められる。技術を磨き、集中して思い通りのパフォーマンスを発揮するには、日々のトレーニングが不可欠だ。さらに、約4万人の観衆の前でプレイする選手にとって、大舞台で普段通りの実力を発揮するためにメンタル強化も避けて通れない。
こうした選手のトレーニングやコンディション管理をサポートするのが、トレーナーや栄養管理士などの専門家たちだ。しかし、いまそこまでのサポート体制を備えているのは、一部のチームのみ。選手育成のノウハウが確立しているとは言いがたいのが現状だ。
そこで登場するのが、冒頭で挙げた歴史あるプロスポーツチームの存在だ。彼らがリーグに参加することによって、長年培ってきたアスリート養成のノウハウがeスポーツ界に継承される。それによって、トレーニング方法は効率化され、本当の「プロ選手」を育てることができる。