しかし、これらはどれも偶然の出来事ではない。フィラデルフィアのホテルとサンディエゴのリゾートはどちらもフォーシーズンズ傘下だった。私たちが経験した素晴らしいサービスは、周囲と経験を共有するトークトリガーとなった。
素晴らしい施設と期待通りのサービスを提供するだけでは、ストーリーは生まれなかったかもしれない。しかし、予想外のおまけがついていたため、あらゆる人にその話を広めたくなってしまったのだ。
トークトリガーの4つの基準
ベアは、トークトリガーには4つの基準があると説明した。
1. 特筆すべきものであること
どんなことであれ、その経験は口コミに値するものでなければならない。
2. 的を射ていること
提供されるサービスやアメニティーが的外れなものであれば、顧客はブランドと何の関係があるのだろうと思うかもしれない。ダブルツリーは、宿泊客がわが家に帰ってきたような気分になってほしいと考えている。温かいチョコチップクッキーの提供は、そうしたブランドのメッセージを強化している。クッキーではなくイワシの缶詰をもらったとしても、同じ効果はないだろう。
3. 無理のないものであること
ダブルツリーで提供されるクッキーのコストは手頃なので、賄賂のように見られることはないし、このコストによりホテルの財政状態が狂うことはない。温かいクッキーは良いもてなしであると同時に、やり過ぎているという印象は与えない。同様に、チューブ絵の具も目を引くものの、そこまで高価ではないため、無理のない印象を与える。
4. 繰り返し可能なこと
体験を提供する相手が常連客のみであれば、トークトリガーにはならないかもしれない。ヒルトン・ホテルズが一部の施設でダイヤモンド会員専用の駐車スペースを用意していることは素晴らしいが、それを享受できるのは一部の人のみだ。
素晴らしい特典ではあるものの、あらゆる人が受けられる恩恵ではないため、トークトリガーにはならないかもしれない。ダブルツリーでは、クッキーを我慢してジムに通わなければならない人も含め、誰もがクッキーをもらえる。
あなたのブランドにもできること
トークトリガーは、自社ビジネスの口コミを生む指針となる。冒頭で紹介した2人の著者は、同書を購入して満足できなかった読者には、ポケットマネーを使って何でも好きな本を購入すると約束している。それでは医学書を買ってくださいと頼むのは無理があるかもしれないが、2人の約束は確かに特筆すべきもので、的を射ており、繰り返し可能なものだ。皆さんは、どのようにすれば自分のビジネスのトークトリガーを構築できるだろうか?