5. コンテクスト、コラボレーション、明確な期待値
昨年のHRテックカンファレンスで、Facebookのミレニアル世代の代表ともいえる若きHRプロフェッショナルであるMolly Graham が以下のように発言した。
「『会社で起きていることを知る権利がある、意味のある仕事が任せられている、業務のプロセスに巻き込まれている、意思決定の一部を担っている』と思えること、つまり自分達の会社としてのオーナーシップを感じられることが大切だ」と。
ミレニアル世代は、なんのための仕事なのかわからない業務をこなすことが求められる状況では、モチベーションを保つことができない。仕事の意味を常に理解できる環境にあることが、より効果的効率的に働く内なるがモチベーションにつながり、会社に対するロイヤリティーをあげ、仕事にインゲージする重要な要素である。
これがマネジメントの在り方に対する示唆となり、若い世代に対してより意味のある重要な仕事を任せる機会を増やし、優秀な若い世代の離職率を下げることにもつながる。
部門間・世代間の関係を改善
リバースメンタリングを実施しているGE、Hewlett Packard、Ogilvy&Mather、Proctor&Gamble、The Hartfordなどの組織では、若い従業員の離職率が低く、高齢層の新しいテクノロジーに対する理解が高まってきているという効果が出ています。
IT部門の若者によるリバースメンタリングの活用によって、サイバーセキュリティを含むIT戦略の浸透や促進が可能になり、組織レベルでの部門間および世代間の関係を改善する機会となってという事例が報告されていました。
挑戦と変化に動機づけられ、テクノロジーを使いこなすことに長けているミレニアル世代は、オーナーシップを与えられることによって、よりモチベーションを高めることができ、結果として離職率が下がっているということです。
これら米国のリバースメンタリングから学べることは何でしょうか?
日本では、ミレニアル世代の特徴が若干違うかもしれません。チャレンジと変化することに動機づけられるというよりは、一部の若者は、むしろ安定性を求めている、とも言われています。
しかし、一部の若者は、退屈な仕事や日常生活では自由に使いこなすことが出来ているテクノロジーを使うことができない会社のIT環境などにフラストレーションやあきらめを感じているとも言われています。
また、よりチャレンジしたい優秀な若者は、早々に会社を去ってしまうなども聞かれます。
「働き方改革」には、テクノロジーの浸透と組織文化を変える取り組みが欠かせません。その両方と、多世代間コミュニケーションの強化を実現する方法として、リバースメンタリングが注目されているわけですが、日本では、どのように若い世代の強みを活かす取り組みを行うことができるでしょうか?
マネージャ―層が若い世代からメンタリングを受けいれるということだけでも、大きな第一歩かもしれません。大きな予算を割くことなく従業員間モラルの向上と有能な若い社員の離職率をも下げることができる有効な方法として注目されているリバースメンタリング。
あなたの組織では、どのように取り入れることができるでしょうか。
連載 : 働き方改革の先にあるもの
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