ビジネス

2018.09.10

オープンイノベーション「祭り」で賢く踊る7つのポイント

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4. 従来の価値観や意思決定プロセスは障害になる

新しい価値を創造するためには、既存事業とのコンフリクトも許容しなければならない。ゆえに、従来の本業を中心とした価値観や意思決定プロセスは邪魔になることも多い。ときには過去の成功体験を忘れて、捨て去る必要がある。

できないのであれば、新規事業には関わらない方がいい。特に、既存事業部および、社内での出世や保身を優先する人は、新規事業には近づいてはいけない。企業によっては、既存事業部の影響を受けないように、権限規定を改定したり、別オフィスを用意するケースもある。

5. 先に与え、先に貢献する

シリコンバレーでは、情報交換と称して現地企業から情報だけ持ち帰る日本人への批判が後をたたないが、国内でも同じことが起こっている。大手企業を頂点とした系列構造で成り立ってきた日本では、以前は黙っていても大企業に情報が集まっていた。

しかし、いまはそうはいかない。スタートアップの世界は「Give & Take」のバランスを非常に重視している。ここでは、先に与え、先に貢献しなければ、イノベーションは自社には近づいてこないと考えるべきである。

メガバンク以外の国内金融機関で初めてアクセラレーターを実施した第一勧業信用組合は、「協同組織」という使命を忠実に実行して、積極的にスタートアップを支援した。先に貢献する姿勢がスタートアップを惹きつけ、こぞって同組合に相談にやってくるという結果を生んでいる。

6. 合理的な解決ツールはない

新規事業が成功した事例を調べると、偶発的に生まれたものが多い。つまり、合理的な解決ツールはないのにもかかわらず、多くの企業はオープンイノベーションのツール探しに終始している。ツール探しよりも、挑戦し、失敗から学び、自社に適した事業創造の方法を模索し続けるべきである。多くの既存組織は過度に失敗を避けようとするが、イノベーションには失敗が必要だ。

7. 未来は誰にも予測できない、ただ行動せよ

人口が増え、モノが不足していた経済成長期には、未来は過去から延長線上にあり、比較的容易に予測できた。ところが、いまはモノが溢れ、人口が減少し、所得が落ち続けるという歴史上経験したことのない環境だ。未来は予測困難で、従来のやり方は通用しない。

ヴァージニア大学のサラスヴァシー教授は、優秀な起業家の共通点について、「起業家は結果に満足するまで、あるいはこれ以上続けたくないと判断するまで、“行動→学ぶ→活かす”というプロセスを繰り返し続ける」と指摘している。未来が予測不可能であれば、“行動すること”こそが重要なのだ。

いま日本で「祭り」のように賑わうオープンイノベーションに、まず乗らないという手はない。ただし、この「祭りの先」も見据えて、本気で事業を起こそうとしなければ日本経済の復活は遠のくだろう。

文=鈴木規文

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