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クリエイティブなライフスタイルの「種」

栃木県那須の複合施設Chusで開発されたお土産「バターのいとこ」

地方創生の流れが加速するなか、そのプロジェクトの一環としての「お土産」作りは、これまで以上に重要な位置付けとなっています。

パッケージデザインを刷新し、ウィットに富んだコピーをのせて、リブランディングされていく地方のお土産たち。しかし、以前は目新しく、つい手にとっていたものの「最近ではどれも似たりよったり?」と思っている方も多いのではないでしょうか。

そんな中、ただ「デザインをお洒落に」とか「特産品を驚くような形で」という視点ではなく、社会の課題解決を意識して作られた栃木県・那須のお土産「バターのいとこ」が密かに注目を集めています。今回はこの「バターのいとこ」誕生の背景から見えてきた、「お土産3.0」的イノベーションについて考察してみたいと思います。

 
マルシェ、レストラン、ゲストハウスからなるChus。レストランは"那須の大きな食卓"をコンセプトに展開されている

「バターのいとこ」を開発したのは、那須にある「Chus(チャウス)」という複合施設。マルシェとレストラン、ゲストハウスが併設されており、マルシェには地元生産者から直接届く野菜や加工品が豊富に揃い、レストランではその新鮮な食材を使った食事が楽しめます。観光客からも注目されるスポットですが、地域のコミュニティを大事にしていることから、地元の人々にも愛されています。

そんなChusが「バターのいとこ」を作るキッカケとなったのは、ある酪農家さんと話をしていた時でした。

見捨てれていたものに価値を

「那須の酪農家さんが、クラフトバターを作りたいという話をしていたんですよ。昨今の牛乳離れや人口減少による消費の低迷、作り手の高齢化など、酪農家さんを取り巻く環境はどんどん厳しくなる中、日本ではまだ馴染みのないクラフトバター作りは、新しい活路になるのではないかと」と語るのは、Chus代表の宮本吾一氏。

「でも、バターを作るとどうしても無脂肪乳がたくさん出てしまうので、どうしようか……と悩んでいたんです。だったらその無脂肪乳を使って別の何かを生み出せたら、みんながハッピーになるんじゃないかと思って」

バターは牛乳から作られるものの、バターになるのはたったの5%。残りの90%以上は無脂肪乳となり、そのほとんどは脱脂粉乳として安価に販売されます。無脂肪乳も、もともとは愛情込めて作られた牛乳の一部。なんとか価値を生み出せないものか、という想いが、この「バターのいとこ」開発の根底にあると言います。なるほど、バターの“いとこ”というのは、無脂肪乳のことだったんですね。


「バターのいとこ」がもたらす好循環を、わかりやすく図にしたもの

もともと酪農家さんの課題を解決する形で生み出されたこのお土産。それが観光客に喜ばれれば地域活性化につながり、たくさん販売できれば無脂肪乳の価値向上にもつながります。生産者も、観光客も、地元の方も笑顔にする“三方よし”な循環が生まれるのです。

文=国府田淳

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