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数々の受賞歴をもつ、国際的なデザインコンサルティング会社

Stock Rocket / Shutterstock.com

IDEOは、約30年前から「人間中心」発想のデザインによるイノベーションを追求してきた。そのなかで確立したのが、人を深く観察することからインスピレーションを得て、ゼロからイチを生み出す、「デザインリサーチ」という手法(デザイン・シンキングの中心的要素)だ。

リサーチと聞くと、答えを探したり、仮説を検証するためのいわゆる「市場調査」や「マーケットリサーチ」をイメージする人が多いかもしれない。しかし、デザインリサーチは、目的も方法もかなり異なる。

今回は、IDEO Tokyoのデザインリサーチ・リード、アメリア・ジュール(Amelia Juhl)が、デザインリサーチ独特のアプローチについて、事例とともに紹介する。

インスピレーションはアイデアの源泉

IDEOのデザインリサーチャーのバックグラウンドはとても多様だ。文化人類学者、社会科学者、ジャーナリスト、マーケットリサーチャー、ブランド戦略家、写真家など、様々な経験を積んだ人材がいるが、「人への興味関心が強い」という共通項がある。

人と話し、じっくり観察することで、その人自身も意識していないニーズや欲求、癖、視点などを見出す。そして、今はまだ存在しないアイデア、デザインへと導く案内人となることが、私たちの役割である。

デザインリサーチは、アイデアの源泉となるインスピレーションを探求するため、デザインの対象となる人々へのインタビューに加えて、その領域にまつわる多様な経験を組み合わせて設計される。

たとえば、「未来のメイク道具」について考えるプロジェクトでは、特殊メイクのスクール視察をし、手で道具を操る様子を学ぶためアナログ時計修理マイスターの元を訪れ、ブラシを扱うことについて考えるために書道レッスンなども取り入れた。

デザインリサーチから価値を生み出すためには、リサーチで得られるインスピレーションをうまく利用し、主観的に解釈することで新たな可能性を想像する力が必要だ。私たちはリサーチを進めるなかで、共通のテーマやつながり、相反、矛盾などを見出す。それは、「さらに深掘りせよ」というサインだ。なぜなら、そうした気づきの奥深くに、新たなインサイトやチャンス、アイデアの種が眠っているからだ。

既存のアイデアや仮説を検証するのに有効なマーケットリサーチと比べると、もっと初期の段階で活用されるデザインリサーチのアプローチは性質が異なる。アイデア自体をゼロから考える場合は、マスを対象に客観的なデータをとることにあまり意味はない。検証すべきアイデアが存在しない段階では、見るべきデータも存在しないからだ。

以下の表は、一般的なマーケットリサーチと、デザインリサーチのいくつかの特徴を比較してみたものである。



デザインリサーチのやり方に正解はないが、よりよいアイデアに思考を導く方法はある。そのいくつかを、紹介していきたいと思う。

常に「問い」に磨きをかける

昨今私たちがよく直面するのは、課題そのものが不確定な状況だ。IDEOに寄せられる相談も、すでにある問題を解決するより、今ないものを創るために問いを立てるところから始めるケースが圧倒的に多い。

しかし我々は、最初から何か問いを与えられたとしても、リサーチを通して問い自体を見直したり、掘り下げたりする。問いを磨き続けることで、より良いアイデアが生まれるからだ。過去のある事例をみてみよう。

文=アメリア・ジュール(IDEO Tokyo デザインリサーチ・リード)

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