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世界漫遊の放送作家が教える「旅番組の舞台裏」

プロヴァンスの街、Gordes(shutterstock.com)

仕事の関係もあり、足繁くフランスに出かけている僕に、毎年春が近くなると、よく聞かれることがある。それは「フランスにも花粉症はあるのか」ということだ。

結論から言うと、もちろんある。僕がまだ「花粉症」というものを知らなかった頃、南フランスでロケをしていたら、くしゃみと鼻水が止まらなくなった。風邪ひいちゃったかなあ……と思っていたら、通訳の人から「それって花粉症ですよ」と言われて驚いたことをよく覚えている。

この場合の僕の驚きとはもちろん、フランスにも花粉症があることに対してではなく、自分が花粉症になってしまったということに対してだったが、まわりのスタッフはヨーロッパにも花粉症があるということにいたく感心していたことが記憶にも新しい。

ヨーロッパの花粉事情について現地の人たちに詳しく話を聞くと、僕がアレルギー反応を起こしたのは糸杉花粉ではないかとのこと。日本ではスギ花粉が忌み嫌われているが、フランスでは糸杉花粉なのだ。糸杉といえば、あのゴッホが描いた糸杉である。花粉症デビューは残念極まりないが、「糸杉花粉なら、まあ、いいか」と奇妙に花粉症デビューを受け入れた。

プロヴァンスは天国にいちばん近い場所

さて、この糸杉が多く繁る南フランスのプロヴァンス地方だが、美しい自然が広がることで知られている。セナンク寺院のラベンダー畑などは観光地としても有名だし、山だけではなく地中海だってある。とくに僕は6月のプロヴァンスを「ヨーロッパでいちばん天国に近い場所」と個人的に認定している。昼からテラスに座ってロゼワインなどを飲んだら、これに勝る贅沢はあるのかと思うほどだ。



プロヴァンスは、とにかく景色が素晴らしい。大げさではなく、それはもう本当に光の粒子が見える気がするくらい、ありとあらゆるものが輝いているのだ。アルプス山脈とピレネー山脈に反射した光がちょうどプロヴァンスあたりでぶつかるから、科学的にも光の粒子が違うという話も聞いたことがある(真偽のほどは確かではないが……)。

そんなプロヴァンス地方については、名前は知っているし憧れもあるが、なかなか縁遠く感じているという人も多いのではないか。旅慣れていない人にとっては、トランジットが必要な場所に行くというのは確かに勇気のいることかもしれない(日本からだとパリあたりを経由しなければならない)。

しかし、そんなプロヴァンス発祥のものを、比較的よく日本でみかけることができる。例えばあの自然派のコスメティックブランド、ロクシタンもそうだ。

そもそもロクシタンとは、オック語のことを指している。オック語とは、主に南フランスを中心に話される言語で、東はコートダジュールから、西は大西洋沿岸のフレンチバスクまで使われているという。プロヴァンスはまさにオック語圏の中心なのだ。

近年ワイン産地として日本でも人気が出てきたラングドックという地名も、このオック語が由来となっている。エアバスの本拠地であるトゥールーズなどでは、通りの名前を示す看板がフランス語とオック語で書かれていたりして、南フランスの街を訪れれば比較的身近に感じられる言語なのだ。

このオック語が話されているエリアのことをオクシタニアというのだが、ここが実に素敵なエリアなのである。パリからわざわざ移住してくる人も多いのがその証拠だ。

文=鍵和田 昇

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