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世界漫遊の放送作家が教える「旅番組の舞台裏」

グラノ・パダーノ(Photo by Brad Barket/Getty Images for Grana Padano)

日本一の湖といえば誰もが知る琵琶湖だが、イタリア最大の湖は意外に知られていない。ガルダ湖である。広さはおよそ370平方キロメートル。南北におよそ52キロメートル、東西に17キロメートルという細長い形をしている。

数字だけを比べれば琵琶湖には敵わないが、イタリアン・アルプスを従えて湖水を揺らす姿は、ヨーロッパの大自然の迫力を存分に感じさせてくれる。

ガルダ湖は、ざっくり言えば、ミラノとヴェネチアの間に位置する。イタリアの中でもかなり北にあるのだが、温暖な地中海性気候に恵まれている。というのも、ガルダ湖の北にそびえるイタリアン・アルプスが北風を遮ってくれるからだそうだ。山とはなんと偉大なことか。

そのため、温暖な気候を生かして、湖の周辺でオリーブやワインの生産が行われている。また湖畔に点在する街は、古代ローマ時代から保養地としても賑わって来た。なかでも最も有名な街が、シルミオーネであろう。シルミオーネは、ガルダ湖の南側に突き出た細長い半島の先端にあるが、ここにはなんと温泉が湧いている。立派なスパ施設もあり、街一番の見どころであるスカラ家の城とともに多くの観光客を呼び寄せている。

パルミジャーノ・レッジャーノの兄弟

そんなシルミオーネの近郊に、グラナ・パダーノの生産者組合がある。ガルダ湖に負けず劣らず聞き覚えのない固有名詞かもしれないが、実はグラナ・パダーノはイタリアで最も消費量の多いチーズだ。

グラナとはイタリア語で「粒状」を意味する。その名の通り、グラナ・パダーノはシャキシャキとした粒状の食感に特徴がある(ちなみにパダーノとは、その主産地となるイタリア北部のパダーノ平野から由来している)。その特徴をいかし、おろし金でグラナ・パダーノを削れば、見事な粉チーズとなる。

イタリアの粉チーズといえば、パルミジャーノ・レッジャーノを思い浮かべる人も多いだろう。実際にパルミジャーノ・レッジャーノとグラナ・パダーノを比べてみると、(チーズの表面に刻印されたブランドのロゴマークを見なければ)まったく見分けがつかない。撮影でお世話になったシェフでさえ、言われなければ違いはわからないと言っていた。それもそのはず、このグラナ・パダーノは、パルミジャーノ・レッジャーノの兄弟とも言われるチーズなのだ。


これがパルミジャーノ・レッジャーノ。刻印がなければプロでも見分けがつかない?(Photo by Massimo Di Nonno/Getty Images)

グラナ・パダーノもパルミジャーノ・レッジャーノも、共にベネディクト派の修道士によってその製造方法が確立されたという。見た目だけでなく、製造工程も非常によく似ているこのふたつのチーズ。具体的に何が違うのかというと、産地や熟成期間、原料の生乳などがあげられる。

グラナ・パダーノは北イタリアの5つの州の広域で生産されているのに対し、パルミジャーノ・レッジャーノは、パルマ(パルミジャーノ)やレッジョ(レッジャーノ)・エミリア近郊という、より限定された地域で生産されている。

また、グラナ・パダーノは熟成期間9ヶ月から出荷されるのに対し、パルミジャーノ・レッジャーノは最低でも12ヶ月は熟成されなければならない。乳牛に与えられる餌や、その生乳の処理の仕方からも、グラナ・パダーノとパルミジャーノ・レッジャーノを区別することができる。たぶんそのために国内での消費量はグラナ・パダーノのほうが多いのかもしれない。

グラナ・パダーノはパルミジャーノ・レッジャーノの廉価版、などと捉えられる向きも多いようだが、決してそんなことはない。それを証明するように、どちらも食品の安全と品質を保証するPDOに認定され、厳格な規格のもとに製造されている。

文=鍵和田 昇

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