さて、それではこのようなリスクが考えられた場合、どのように対処すればよいのでしょうか? 答えは「タスクの範囲をあえて狭める」というやり方です。
例えば人間のコンシェルジュのように、抽象的な「何か素敵な体験を」という一般的な課題を解決するのが難しいのであれば、この「素敵な体験」のうち、主要かつ同質性の高い一部分だけを切り出してAIに解決させましょう。例えば「ショッピング」だけにフォーカスすれば、着ている服や持ち物の画像だけをチェックして「好みのものを近くで買えそうな場所」へ案内することができるかもしれません。
あるいは「食事」にフォーカスして、食べ物の好き嫌い、禁忌やアレルギーの有無から最適なレストランへ案内するという考え方もできます。このように課題を絞ればそれだけ「同質性」は向上しやすくなります。
ただし、このような考え方は前回紹介した「総負荷量が小さいから範囲を広げる」という考え方とトレードオフであることにも注意しましょう。あまり課題を狭めすぎると、逆に総負荷量の小ささの方が問題になるかもしれません。だからこそ、最初にAIで解決させようと思いついたアイディアのうち「主要なものは何か?」と考えることが重要になります。
例えば総負荷量で考えた場合には課題全体の8割をカバーできて、しかもそれにより同質性が大きく向上して「大外し」のリスクが減るような狭め方があるのであれば、これは素晴らしいアイディアの微修正ということになります。
みなさんも素晴らしいAIのアイディアを思いついたときには、前回紹介した「広げ方」だけでなく、「狭め方」についても検討してみて下さい。
連載:失敗しないAIプロダクトの作り方
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