EUの一般データ保護規則(GDPR)が5月25日から施行され、各社が対応に追われる中で、シリコンバレー、ワシントン、EUのプライバシー意識の差が浮き彫りになっているという。
渡辺:今回のテーマは、フェイスブックのプライバシー問題、グローバルの規制の状況について。
奥本:ユーザーデータ流用・流出問題でマーク・ザッカーバーグが米議会の公聴会で証言台に立ったのが今年4月10日と11日。
渡辺:どちらの日も何時間も質問があったけど、そもそもフェイスブックが何かわかっていない議員とか、たとえそれが分かっても何をどうやって規制したらいいものやら、という感じで、あちこちのメディアで嘲笑の的になっていた 。
奥本:初日の上院はひどかったね。「会社を分割されるのと、規制をかけられるの、どちらがいいか?」とか「どんな規制をかけたらいいのかドラフト作れるか?」とか、「それを規制対象の会社のCEOに聞くのか」という質問が多くあった。
渡辺:最近のカラ・スウィッシャーのポッドキャストで、テックが結構分かっている若手のカーナ下院議員がゲストだった回があるんだけど、「こんな国会に規制を任せていいのか、と思われても仕方ない」と言ってた。
奥本:「フェイスブックはどうやって収益をあげているのか」なんていう質問もあって、フェイスブックのビジネスを理解せずに公聴会に出席している議員がいることに驚いたわ。
渡辺:敢えて弁護してみると、フェイスブックのユーザー・エクスペリエンスって人によって全然違うから、「私が見てるフェイスブックはあなたが見てるフェイスブックとは全然違う」ということになる。質問している議員がたとえ本当に使っているとしても、自分が見ている画面しか知らないから全体像を理解するのは難しい。
奥本:興味深かったのは「フェイスブックの直接の競合はいるのか」と質問されたザッカーバーグが、カテゴリーがどうしたとか、部分的なオーバーラップがあるとか、まわりくどい回答しかできなかったこと。フェイスブックのソーシャル・メディアでの市場独占を象徴してると思った。
渡辺:フェイスブックほどユーザーが多いと、アメリカだけじゃなくて世界中の政治に影響が出るのは怖いところ。全世界で22億人のユーザーがいて、年間の収益は400億ドル超というとてつもなく大きな規模。世界のほぼ3人に1人がフェイスブックユーザー。とんでもないことです。