食生活改革のカギは「発酵食品」にあり

shutterstock.com


長谷川さんに紹介いただいたのは、北陸地方にある石黒種麹、あら与、今川酢造、ヤマト醤油味噌の4つ。いずれも伝統的な製造法を採用されていて、中には江戸時代から続いているお店もありました。どの食品も東京では食べたことがない味を醸し出していて、早々に魅了されたものです。

「健康さ」も百聞は一見にしかず

特に、あら与が扱っているフグの卵巣は、3年間塩漬けにすることで猛毒を消すという製造方法で“奇跡の発酵食品”と説明されていました。芳醇な発酵の香りに誘われてつい手が伸び、お店の中で白米が止まりませんでしたが、本来の目的を思い出し、7代目社長の荒木敏明さんにヒアリング。すると「身内に花粉症やアレルギー、メンタルヘルスに悩む人がいない」ということでした。

良質な発酵食品を食べている人は腸内環境が整いやすく、腸内環境次第では上記の症状が抑えられるというのは多くの本で読んでいたほか、NHKの番組でも特集されていましたが、まさにその通りでした。


あら与7代目社長の荒木敏明さん(左)と筆者

同様のヒアリングを他の生産者の方々に行ったところ、もしかしたら花粉症かもしれないという一人を除き、全員が健康そのものでした。ヒアリング数が少ないためデータというほどでなく、かつ発酵食品以外の理由ももちろんあると思いますが、実際にお会いしてその健康さや肌ツヤの良さを目の当たりにした衝撃は大きく、その日から早速、発酵生活に入りました。
 
元々はまりやすい性質ということもあり、自宅では塩麹や醤油麹、納豆を手作りするようになり、さらには同僚に甘酒を作ってもらうなど、あっという間に食卓が変わっていきました。一般的な食べ物は時間を経ても味が変わりません(劣化はします)が、発酵食品は菌の繁殖により日々味が変化していくところも魅力です。

それからというもの、「この素敵な食品をもっと多くの人に伝えたい」という思いから、MCを務めるラジオ番組「渋谷でケンコー」に発酵関連のゲストを何人もお呼びし、荒木さんにもはるばる金沢からお越しいただきました。
 
社内向けには、先日DeNAの新入社員研修があり、今回のエピソードの簡略版を披露。健康への関心が高いのか、皆集中して聞いてくれ、「醤油麹をつくり始めました」「毎日甘酒飲んでいます」という人も現れています。

自らの体験談が行動変容を促すというのは実はとても嬉しく、“健康な食事”への行動喚起には、栄養学の研修をしたり効果効能を伝えるよりも、リアルな話の方が響くのかもしれないと感じる経験になりました。働く人を健康にすることを目指し、あの手この手、引き続き試行錯誤していきます。

連載 : ポテンシャルを引き出すライフスタイルのコツ
過去記事はこちら>>

文=平井孝幸

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事