後編では、庄田が掲げる「Open Recruiting API構想」に共感し、「HERP PARTNER」を務める石黒卓弥(メルカリHRグループ)、河合聡一郎(ReBoost代表取締役社長)、高野秀敏(キープレイヤーズ CEO/代表取締役)が、目まぐるしく変化を続ける日本の採用現場と、これからの時代に採用担当がもつべき視点について語った。
新卒と社会人の垣根がなくなっている
庄田:今後、日本の採用、ひいては採用担当の役割はどうなっていくのか。みなさんとは、そんな話ができればなと思っていました。昨今、欧米はツールの進化が目覚ましいですが、日本は欧米とは違った独自の進化がある気がしています。
例えば、新卒一括採用については石黒さんはどう思っていますか。
石黒:メルカリにいて強く実感するのは、新卒と社会人の垣根がなくなってきているということです。優秀な人は学生であってもやっぱり優秀ですし、最近は学生の頃に一度起業してから就活に臨むという人もいて、多様化している。
そんな中、メルカリが新卒採用を続けている理由は、約50万人が行動するという、大きなマーケットだからです。世界に目を向ければ更に大きい。そこは取りに行くべきなのかな、と。この時期世間では2019年卒採用のピークを迎えようとしていますが、メルカリは通年採用・学年不問を徹底しているので、既に2020年卒の内定も出ています。
メルカリHRグループ 石黒卓弥
庄田:アメリカでは18歳、19歳が内定のオファーをもらっていたりする。メルカリも今後、どんどんそうなっていくと思うのですが、日本の学生はいまだに「大企業に入れば安泰」と考えていますよね。
河合:世界的に見て、新卒一括採用をやっているのは日本だけ。日本の新卒は就職活動一斉スタートで、競争関係もそこまで激しくないので、画一賃金でもみんな入るんだろうなと思っています。アメリカや韓国は競争がすごく熾烈で、インターンシップをしないとそもそも就活の権利がもらえないこともある。
メルカリさんの新卒採用は、エンジニア、プロデューサー、デザイナーの新卒を対象にスキルベースで個別に年収を提示するようになりましたが、新卒なのか、中途なのかという境目はなくなっているんでしょうね。
ここ数年、新卒の人と話していて強く感じるのは、学生の間でものすごく情報格差があるということです。上位1〜2%の学生はNewsPicksを見たり、自分で情報を探したりします。加えて、いまはそういう人たち向けのコミュニティもきちんと用意されていますね。
高野:見てるものが違いますよね。
石黒:インターネットが個人をエンパワーメントをする、というのはまさにこのことで年齢なんて一切関係ないですし、情報をもつ人が勝つわけです。
河合:アクセスできる情報の幅が広がってるから、企業側もそれに応じて情報を出していかないと、優秀な学生にアクセスできないという。
石黒:それはいい流れですよね。だからこそ、 採用担当は発信が大事なんです。とはいえ、多くの企業の採用担当は「発信する時間がない」と悩んでいて、私のところに相談が来ます。そこで「こうしたらいいんですよ」と教えるのですが、みんな会社に戻ったら、採用結果のメールを送ることに忙殺されてしまう。
高野:ほんと、どこもそんな状態ですよね。
石黒:ほんとそうです。見送りメールの自動化もできていない。これを言うと、「候補者を大事にしない会社」とか言われるんですけど、本質はそこじゃないよね、と。私や代表の小泉もよく言っているのですが、メルカリでは「10人採用するのであれば、エントリー10人でいい世界を作ろう」と考えている。そうすれば、見送りメールを送らなくてもいいですし、数値目標として応募数は追わずに適切なブランディングによりターゲットに沿った候補者が集まる設計にしています。
高野:100/100みたいな世界を目指している、と。