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Peshkova / Shutterstock.com

生産年齢人口は年々減少の一途をたどり、それに伴い、有効求人倍率は年々上昇。日本はかつてない「人不足」に苛まれ始めている。こうした時代ににおいて、いかに「優秀な人材」を採用できるかが、企業の成長を左右するといっても過言ではない。採用担当の価値が向上していくのは目に見えた事実だろう。

AIによるエントリーシート判定など、データドリブンな採用設計が世間を賑やかにするが、その実態は人間の採用担当者がもともと人力で行なっていた作業を、機械が代替しただけにすぎないのが現状。つまり、本質的に新しい「価値設計」を行なったとは言えないのが実態だ。

「日本の採用担当は肉体労働化している。採用担当が戦略的な採用活動にフォーカスできるようにするためには、ルーティンワークしがちな事務作業は自動化しなければならない」

そう語るのは、求人媒体と連動したAIリクルーティングプラットフォーム「HERP」を立ち上げた、庄田一郎だ。HERPは求人媒体と自動で情報を連携するため、候補者情報の自動取得、候補者とのメッセージの一元管理、募集記事の一括投稿などが可能となり、採用担当が抱える多くの事務作業が自動化される。

また、HERPは採用における情報をもっとオープンにしていくことで企業の採用業務における合理的な意思決定をサポートする「Open Recruiting API構想」を提唱。本構想に共感した石黒卓弥(メルカリHRグループ)、河合聡一郎(ReBoost代表取締役社長)、高野秀敏(キープレイヤーズ CEO/代表取締役)ら8名をHERP PARTNERとして迎え、「Open Recruiting API構想」の実現を目指す。

リクルートで新卒採用担当、エウレカで中途採用を歴任してきた庄田。彼はなぜ、HERPを立ち上げようと思ったのか? 彼の言葉から見えてきたのは、いまの採用担当の価値観をアップデートする「採用2.0」の世界だった。



ー庄田さんは、リクルートやエウレカで採用担当をしてらっしゃいました。HERPを立ち上げるにあたり、日本の採用市場のどんなことに課題を感じたのでしょうか?

庄田:日本の採用には「母集団形成」という負の一面があります。母集団形成の考え方を簡単に説明すると、「応募件数から内定数を逆算する」という考え方です。応募が10人ある場合と、100人ある場合では、その中に含まれる「優秀な人材」の量は違う。つまり、新卒なら「東大生に何人エントリーしてもらったか」、中途なら「マッキンゼー出身からのエントリーが何件増えたか」が採用担当の目標となっているんです。

個人のキャリアが多様化し、企業の採用の役割が変化した現在でさえも、求人媒体のビジネスモデルは変わっていない。率直に言えば、リクルートが1962年に「企業への招待」を出した頃から採用市場に多少の変化はあっても、人事は、求人票を作成・アップデートし、候補者のエントリーを待ち、「入社」があった場合に支払いが発生するという点で変化はありません。

正直にいうと、僕はリクルートで新卒採用を担当していたとき、「良い採用を測る基準が何か」を常に考えていましたが、正解がわかりませんでした。たとえば、採用イベントを設計した場合「何人応募があり、応募者の中に内定者が何人いたか」を上司に報告する指標として測りますが、それが本質的な価値なのかというと難しい問題です。

ー人事としても「内定させること」が目的になっているということですか。

そうです。たとえしっかりした理由を持って「ソニーに行きたい」と語る学生がいても、何回もご飯に誘って口説き落とします。でも、本当にその子のためになっているかどうかはわからない。僕はリクルートが大好きですから、「大好きなリクルートのことを一方的に話しているのだ」と考えて日々学生さんとお話をしていました。

だから、候補者を「口説いて入社意思決定させられる人」が採用担当になりやすい。採用担当にクライアントと交渉して契約を獲得してくる営業出身の社員が多いのは、それが理由です。結果として、地頭や容姿がよく、交渉力が高い人たちは採用担当として成果を出しやすい仕組みなんです。

本来、採用担当の本質的な目標は「採用した人材が会社で成果を発揮したとき」に測られるべきものです。たとえば、IT業界では「ひとりの天才エンジニアが20億円の利益に貢献する」のはよくある事象です。

逆に、どんなに優秀でも入社して3ヶ月で辞められてしまったらかけた費用をドブに捨てるようなものです。「一人当たりの採用単価がいくらに抑えられたか」という議論に採用部としては価値がありますが、会社全体としてはそれだけを語っていても意味がありません。

文=奥岡ケント 写真=小堀将生

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