「トランプらしさ」を許すのは得策? 大統領が欠くリーダーの資質

(Photo by Jeff J Mitchell/Getty Images)


問題なのは、トランプにはリーダーシップの準備ができていないことだ。彼は今まで数十年間、父親以外の誰からも指図されずに生きてきた。自分のショーを、自らの思うままに動かしてきたのだ。彼の目的は自分の地位の強化だった。計画性・チームワーク・規律を必要とする役職に就いた今は、力不足の状況だ。

今までトランプのとっぴな行動については多く書かれてきたが、他者の扱い方やマネジメント手法についてはあまり触れられていない。

トランプ支持者が書いた冒頭の文章は、不安をかきたてるものだ。トランプは自分の主張を通すためであれば他者をこき下ろすような人間であり、これはリーダーが取る行動とは真逆だ。リーダーとは、他者のためとなる任務を遂行するべく、人々の協力を促す存在なのだ。

私はリーダーシップ指導を行う者として、ある懸念を抱いている。トランプが、人種間の不和を拡大させる人々を勢いづけてきたように、独裁的な素質を持つ人々に対して、自分に害がない限りは自分の下で働く人を傷つけ破壊しても大丈夫だと思わせてしまうのでは、と。トランプを理想のリーダーとして見る人に対しては、現政権でたった10か月間にどれだけ多くの人間が入れ代わったかを考えるよう忠告したい。

統治には、国家運営の道を探すため、強い心を持った人たちが互いに協力することが求められる。トップの人間が「協力すること」の意味を体現していなければ、国家統治のシステム全体が危機にさらされる。

トランプは、自分本位の行動を取ることで自らの大義の価値を下げており、リーダーの立場にいる人にとっては反面教師だ。リーダーシップには、個人ではなく全体を向上させるような理想への奉仕が求められる。

編集=遠藤宗生

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