「“ダントツのトップ”と言ってもいいだろう」(あすかホールディングス・谷家衛会長)
Forbes JAPAN「日本の起業家ランキング2017」の1位に輝いたのはメルカリ・山田進太郎だ。中古品の個人売買仲介アプリを運営する同社は16年3月、約84億円の大型資金調達を実施、評価額が推定10億ドル(約1,030億円)を超え、日本唯一の“ユニコーン企業”となった。
特に注目されたのが「ここ1年での米国市場の成果」だ。メルカリは15年から米国へ参入、16年に入り急速に普及した。米アップル「iPhone」向け無償アプリのダウンロードランキングで全米3位に食い込むなど、米国でのDL数は2,000万DLを突破。日本のスタートアップはこれまで、グローバル、とくに北米で苦戦を強いられてきたが、その壁を乗り越えつつある。
「もはや“起業家”の枠から出ている感がある」(マネックスグループ・松本大社長)とし、「日本発グローバル・スタートアップ」最有力候補として3年連続1位に選出し、“殿堂入り”を果たした。
今回、ランキング上位の起業家の共通点は「グローバルで通用するか」「社会課題・成長課題の解決につながるか」という問いに答えを出している点。さらに「カッティング・エッジ(最先端)か」がテーマとして注目された。
「グローバル」「カッティング・エッジ」で高く評価されたのが2位ソラコム・玉川憲だ。クラウドを使い「IoT(モノのインターネット)」に対応する通信基盤を提供する同社の特徴は、初期投資額と通信費を抑え誰でもIoTサービスをはじめられる点。インスタグラム、ウーバーを生んだアマゾンのクラウドサービスAWSのIoT版という大構想を描く。
サービス開始から1年で海外展開を本格化、ユーザー数は国内外4,000以上と急成長。「米トップVCにも“刺さる”プレゼンテーションができる、という稀有な起業家兼技術者。経営陣の技術力とその理解度も高い。今後に期待できる」(WiL・伊佐山元共同創業者CEO)。
「社会課題・成長課題の解決」が高く評価され3位にランクインしたのがラクスル・松本恭攝だ。印刷業界に“シェアリング・エコノミー”で変革を起こす同社は15年12月から、物流業界にも参入。配送事業者をつなぐ「ハコベル」を開始した。遊休資産の有効活用モデルで、地方も含めた中小企業の事業創出を実現し、一方でユーザーとなる中小企業向けにも印刷だけでなく、マーケティング、配送と事業を拡大。直近1年で92%の売上増と好調のなか、“伸びしろ”はまだある。
日本で初めてのミューチュアルファンド(投資信託)からの調達も実現させたことも評価につながった。「ここ1年で経営者としての資質、経営能力が格段に伸びた点の評価は高い」(グローバル・ブレイン・百合本安彦CEO)
今年、米食品医薬品局(FDA)の認可取得をした電動車いす開発・販売のWHILL・杉江理が6位にランクイン。「100m先のコンビニも諦める」というユーザーの課題解決を技術力とデザインで行う発想やビジョンの新しさが、日米ともに本格展開することが評価された。