8位のアストロスケール・岡田光信は、宇宙ごみ(デブリ)除去という壮大な社会課題解決を目論む。人工衛星やロケットの残骸など増え続けるデブリに対し、世界初の事業化を目指す。18年前半にかけてデブリ観測・除去衛星を打ち上げる計画だ。
「衛星を支える技術は、日本の中堅・中小企業のものが多く、文字通り『下町ロケット』。日本政府の宇宙計画にも世界ではじめてデブリ除去が記載されるなど、まさに社会課題を解決する国家プロジェクト」(産業革新機構・土田誠行専務)
9位のライフロボティクス・尹祐根も、人と協働しピッキング作業などを行うコ・ロボットで、社会・成長課題解決を狙う。特徴は独自技術により、人の肘に相当する部分がなく、人がいる狭い空間でも安全に作業できる点。トヨタ自動車、吉野家など導入先が多岐にわたり、生産現場の人手不足や単純作業の負担解消を行う。「最もシンプルな民生用ロボットとして世界中の市場開拓が可能。あらゆる産業分野、現場における多面的な市場創出が期待できる」(フィスコ・狩野仁志社長)。
4位はビズリーチ・南壮一郎。「今までランクインしなかったのが意外。経営およびグローバルなセンスはトップ10起業家の中で出色」(グロービス・キャピタル・パートナーズ・仮屋薗聡一マネージング・パートナー)。KDDIが子会社化したネット通販「ルクサ」も、同社の一事業としてはじめており、起業家としての成功事例をすでに持つ。従業員数677名と雇用創出している点も評価した。
5位のクラウド名刺管理サービスのSansan・寺田親弘もこの1年で、ビジネスSNSとして確固たる地位を確立、収益モデルへと導いた経営手腕が評価された。フィンテック企業として圧倒的な存在感を持つ2社も「実績」「成長性」が評価された。
7位の家計簿アプリ・クラウド会計提供のマネーフォワード・辻庸介は多数の大手金融機関との資本業務提携、サービス連携など起業家としての「巻き込み力」。10位クラウド会計のfreee・佐々木大輔は、トップシェアを誇るクラウド会計でのシェア増加、クラウド給与でもトップシェア、バックオフィス業務の効率化のためのAI(人工知能)研究の強化も行う「正面突破」を狙う起業家のスタンスが評価に繋がった。
今年に入り、上位起業家の多くが、数十億円規模の大型資金調達を行った。こうした傾向についてC Channel・森川亮社長は「小さくIPO(新規株式公開)やM&A(合併・買収)するのではなく、規模感が大きくなっていることはスタートアップ・シーンにいい循環を生むだろう」と話す。日本経済を変えるような、世界に通用するメガベンチャーを支援するーというランキングのミッションが実現される日も近づいているのかもしれない。