アジアではワインへの関心が低く、それは宗教や社会的な背景が関連しているという指摘もある。また、アジア人は遺伝的に、アルコールを分解する能力が弱いのだという説もある。だが、アジアの人たちは決してワインに無関心なわけではなく、古くからワインに親しんできた歴史がある。そして、それは現在も続いている。
韓国
韓国では3世紀には発酵酒が存在していたとみられ、それを示す証拠も見つかっている。だが、実際にはもっと以前から存在していた可能性が高い。一方、ブドウのワインが現れたのは、それよりずっと後だと考えられている。
韓国のワイン産業を取り上げた英字紙「コリア・ヘラルド」の記事によると、同国でワイン生産が本格的に始まったのは、1990年代だという。記事は三つのワイン生産地のうち、慶尚北道の永川市にスポットを当てている。同市では、2008年にワインの生産が始まった。現在は18軒のワイナリーがあり、2015年は赤、白、ロゼ、アイスワインを合わせて27万本ほどを生産したという。韓国産ワインの同年の売上高は、35億ウォン(約3億2,000万円)上っている。
インド
古代インドでは、ブドウから作られたワインは支配階級や宗教指導者たちのものだった。一般市民の間に広まったのは、16世紀のことだ。ポルトガル人領主たちの下で広まり、英国統治下でさらに広く普及した。独立後は次第に廃れていったが、1980年代にフランスのワインメーカーがブドウとワイン製法を持ち込んだことにより、復活した。
高級スーパーでの販売状況には、インド国内で国産ワインの販売が増加していることを示す兆候がある。国内のワイン生産量は2008~09年に2,000万リットル近くに達し、海外に輸出し始めるのにも十分な量となった。2013~14年の輸出量は約20万ケースで、金額ベースではおよそ688万ドル(約7億1,500万円)となった。輸出は今後も、拡大が見込まれている。