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2016.10.24 11:00

アジア4か国で続くワイン市場の拡大、中国は世界2位の規模に


イラン

ワインは約6,000年前、ペルシア商人によってインドにもたらされたと考えられている。現在のイランとアルメニアの国境にあたるザグロス山脈では考古学的調査の結果、約7,600年前にワインが醸造されていたことを示す残留物が発見された。実際に、ワインは古代ペルシアの詩にも登場している。

7世紀にペルシアがイスラム勢力の支配下に置かれると、ワインは次第に忘れられていったが、その後1925~79年の世俗主義の時代には、合法的に堂々と生産されるようになった。1979年のイラン革命後は禁酒とされているが、英経済誌「エコノミスト」によると、「…政府の厳しい取り締まりにもかかわらず、イランでは年間およそ6,000万リットルのワインが消費されていると推定される」。

また、イランのワイン醸造用のブドウの栽培面積は、約3,000平方キロメートルに上るとの推計もある。このデータが正確ならば、イランはスペイン、フランス、イタリア、トルコ、米国に次いで世界第6位のワイン醸造用ブドウの生産国となる。

中国

あのシルクロードが中国から地中海沿岸まで伸びていたことを考えると、ペルシアやインドと同様、中国にワインが伝わっても不思議はない。中国で見つかっている最古のワインの残留物は、およそ5,000年前のものだ。しかし、中国は公式には、ワイン醸造が始まったのは約2,500年前の漢朝の時代だとしている。

1980年代の改革開放以降、新たに生み出されたエリート層の間でワインに対する関心が高まり、フランスをはじめとする各国からの輸入が増加した。現在では、世界有数のワイン市場となっており、さらに拡大を続けている。

中国の2013年のワイン消費量は、ボトルにして約21億7,000万本とされる。一方、世界最大の消費国である米国は、同年におよそ40億本を飲み干したとみられている。だが、米国の人口およそ3億2,500万人は、中国の人口約14億人に比べれば少なくさえ見える。中国の潜在消費量が、世界のワイン業界の垂涎(すいぜん)の的となっているのはそのためだ。

次にあなたがワインについて考える時には、アジアを思い浮かべたくなるかもしれない。

編集 = 木内涼子

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