組織が「思考の多様性」を受け入れていないことを示す9つの兆候

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会議で誰かに「それは素晴らしいアイデアだ。君はそれについて何かすべきだよ」と言われたことは何度もあるだろう。だがその後どうなるかといえば、何も起こらない。

自分で行動して変革のための戦略を立てるべきだということは、誰でも認識している。だが自ら最初の一歩を踏み出して、戦略を定義づけるほどの自信はないという人が多い。私たちは、自分がためらう行動を、周囲の人が起こし始めるのを待っているのだ。

リーダーには、先を見てリスクを承知で行動に出る力が求められる。だが、行動を起こさない。それは彼らに、“思考の多様性”が欠けているからだ。

組織が新しいやり方を発見し、変革を導くためには、思考の多様性を受け入れなければならない。それこそが、進化するための術を教えてくれる。

筆者はクライアントと仕事をしている時、しばしば会議で意図的に、彼らにとって不愉快な真実に目を向けさせる。一つのことについて意見が極端に同じ方向へ向き始めると、誰もが同じ機会にのみ目に目を向け、比較的明らかではない機会に目を向けなくなってしまうからだ。

だからこそリーダーは、部下の熱意をそぐことなく、彼らの思考を広げさせる視点を示し、目を向けていなかったことについても考えられるよう促す必要があるのだ。そうすれば部下もますますオープンな考え方を持ち、いっそう真実に目を向けるようになる。

思考の多様性は、作業グループや組織チームの競争において唯一にして最強の強みだ。しかし問題は、多様性という言葉と概念が、ソリューションとしては役に立たないだけでなく、きわめてややこしく、対立の種になり得ることだ。

私たちは既に多様な、あるいは多文化の社会に暮らしているが、ビジネスとなると“多様性”は一般に“疎外”や“迫害”を促進する要素となる。だからこそ多様性に関する議論が進化してきていないのだ。しかもこのことは、多様な人々に関する議論だけでなく、全ての人に関する議論に当てはまる。

例えば、ヒスパニック系、ミレニアル世代、LGBTなどの言葉を提示されると、私たちはその“人々”よりもその“言葉”について考える。これらの言葉は、コミュニケーションの違いについて受け入れる私たちの考えに蓋をする。だから私たちは、彼らと彼らの違いを隅に追いやるのだ。

その結果、いま職場や市場で定義されている“多様性”は間違った結果につながっており、各グループ間のやり方の溝が広がっている。私たちは議論そのものを変え、多様性の枠を超越しなければならない。必要なのは、思考の多様性を“受け入れる”ことだ。

賢明なリーダーはこれを行うことで、より迅速に機会をとらえ、成長を促進し、競走上の優位性を強化することができる。そうすることで、市場で他社に差をつけることができるのだ。
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編集=森 美歩

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