調査会社NPDグループと投資会社オッペンハイマーが6月中旬に発表した調査報告によれば、米国民(特にミレニアル世代)は誰かに料理を作ってもらいたいと考えている一方で、食料品店に行くことをやめたくはない。ではどうやってその折り合いをつけるかといえば、スーパーマーケットで調理済みの食品を買うのである。
NPDが食品サービス市場について実施した調査によると、食料品店のイートインエリアの利用と調理済み食品のテイクアウトはこの8年で30%増加し、2015年には消費者の支出額が100億ドル(約1兆円)に達した。同社によれば米国民の40%以上が食料品店で調理済みの食品を購入しており、今後その数はさらに増える可能性がある。
同社のデービッド・ポータラティンは「ミレニアル世代は今後も数年にわたって、スーパーマーケットの食品サービスに強い関心を持ち続けるだろう」と予想。「この世代を引きつけたい食品メーカーや小売業者は、彼らが望む新鮮で健康的で、かつ妥当な価格の食品サービスを提供すればいい」と述べた。
多くの食料品チェーンがこのトレンドを認識しているようだが、その中でも調理済み食品の提供で最大の進歩を遂げたのがホールフーズだ。オッペンハイマーのアナリスト、ルペシュ・パリクは調査報告の中で、同社の新型ストア「365バイ・ホールフーズ(365 by Whole Foods)」の調理済み食品部門が特に注目に値すると評価した。
「調理済み食品の種類が豊富で、これが他店との差別化ポイントになり得る。サラダバー、ピザやスープ、サモサなどの温かい食品を好きな分だけ購入できるコーナーがある。それに加えて寿司やサンドイッチなどをパック詰めして販売しているコーナー、顧客がiPadを使ってホットドッグやピザなどをオーダーできるコーナーもある」
さらに「割安価格の商品の品揃えが豊富」で、チキン入り中華風サラダは4.5ドル(約470円)、ピーナッツバターとジャムのサンドイッチはそれぞれ3.5ドル(約360円)、チキン入りシーザーサラダが10ドル(約1,050円)だ。オッペンハイマーでは、365バイ・ホールフーズが今後、従来のレストランから市場シェア20~30%を奪う可能性があると推定している。